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中国は沈むのか?昇るのか?米国vs多極主義陣営の戦いが示す未来=北野幸伯

フランス、ドイツ、ロシア、中国~「多極主義陣営」の形成

フランスのシラク大統領(当時)は、同じ野望をもつシュレイダー首相(当時)と共に、イラクのフセインを守ろうとしました。

具体的には、02~03年にかけて、「イラク戦争」に反対したのです。これに同調したのが、プーチン・ロシアと、中国でした。フランス、ロシア、中国には、

  1. 国連安保理で「拒否権」を持つ「常任理事国」である
  2. イラクに石油利権を持つ

という共通点がありました。

彼らは国連安保理で一体化し、アメリカの戦争に「お墨つき」を与えなかったのです。アメリカは「ドル体制を守るため」に、国連安保理を無視してイラク攻撃を開始しました(03年3月20日)。

この時、「アメリカ一極主義」に対抗する勢力、すなわち「多極主義陣営」が形成されました。核になったのは、フランス、ドイツ、ロシア、中国です。

戦いの舞台は、イラクから旧ソ連圏へ

「アッ」という間にイラク政権を打倒したアメリカ。イラク原油の決済通貨を「ユーロからドル」へ戻し、一安心(しかし、イラク戦争は、その後も長期にわたってつづいた)。

次に狙いをつけたのが、ロシアと旧ソ連圏でした。アメリカとロシアは03年から、

  • ユコス事件(03年)
  • グルジア・バラ革命(03年)
  • ウクライナ・オレンジ革命(04年)
  • キルギス・チューリップ革命(05年)

などなどで、対立を繰り返します。

ロシアは05年、中国との(事実上の)「反米同盟結成」を決意。上海協力機構を「反米の砦化」することで、「アメリカ一極主義」に対抗していきます。

さて、アメリカとロシアの対立はその後もつづき、結局08年8月「ロシア-グルジア戦争」が起こりました。グルジアは当時、親米傀儡のサアカシビリ大統領。この戦争の結果、グルジアは、「アプハジア」「南オセチア」を失いました。

ロシアは、この2つの自治体の独立を承認したのです。

「多極主義陣営」の大戦略は「ドル体制崩壊」にあり

さて、1999年のユーロ誕生からはじまった戦い。「多極主義陣営」は、

  1. アメリカ、強さの源泉は、「ドル基軸通貨体制」にある
  2. ドル基軸通貨体制」をぶち壊せば、アメリカは没落する

ことを「常識」として共有していました(います)。それで、「意図的」にドルへの攻撃を行ってきたのです。アメリカは、イラク原油の決済通貨をドルに戻すことに成功しました。

しかし、「ドル離れ」の動きは、止まるどころか、ますます加速していったのです。例をあげましょう。

  • 06年5月10日、プーチンは、「ロシア産原油は【ルーブル】で決済されるべきだ」と発言
  • 同年6月、ルーブル建てロシア原油の先物取引が開始される
  • 同年12月、ユーロの紙幣流通量がドルを超える
  • 07年6月、プーチン「ルーブルを世界通貨にする!」と宣言(当時、ロシアは原油高でイケイケだった)
  • 07年12月、イラン、原油のドル建て決済を中止
  • 同年12月、湾岸協力会議、「共通通貨をつくる」と発表
  • 08年1月、ソロス「現在の危機は、『ドルを国際通貨とする時代の終焉を意味する』と宣言

これが「リーマン・ショック」直前に世界で起こっていたことです。

「アメリカ不動産バブル崩壊」
→「サブプライ問題顕在化」
→「リーマンショック」
→「100年に1度の大不況」

というのも、もちろん事実でしょう。しかし、一方で、「多極主義陣営からの攻撃で、ドル体制が不安定になっていたこと」も危機の大きな原因なのです。

そして、中国が「人民元の国際化」を進めていく(IMFのSDR構成通貨になるのもその一環)。これは覇権を目指す中国として、当然のことなのです。

沈むアメリカ、昇る中国

さて、08年8月の「ロシア-グルジア戦争」は、短期で終わりました。理由は、翌9月に「リーマンショック」が起こり、「100年に1度の大不況」がはじまったこと。米ロは和解し、いわゆる「再起動の時代」がやってきます。

さて、この「100年に1度の大不況」。ロシアでは「歴史的大事件」と解釈されています。なぜか?

アメリカ一極時代が終焉した」から。

では、09年から、世界は「何時代」に突入したのでしょうか?ロシアでは、「多極時代になった」と言われます。しかし、現実には「米中二極時代」でしょう。

しかも、二極のうちアメリカは沈んでいき、中国は昇っていく。実際、不況が最悪だった09年10年、中国は9%台の成長をつづけた。まさに「一人勝ち状態」でした。(正確にはインドと二人勝ち)。アメリカの影響力は、ますます衰え、中国の影響力は、ますます拡大していく。

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