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南鳥島に眠る大量のレアアースで日本は勝てるか?世界生産量8割を占める中国の焦り

レアアース代替戦略〜脱レアアース

レアアース供給を、中国に大きく依存している状況を何とか打破しようと、レアアースを極力使用しないようにする3R運動(Reduce Reuse Recycle)の技術的開発は進んでいます。

例えば、トヨタは電気自動車(EV)に使うネオジムやジスプロシウムの使用量を大幅に削減したモーター用磁石を開発しました。その代替材料として安価で資源量の豊富なランタンとセリウムを使う計画も発表しています。

ホンダは大同特殊鋼と共同で、レアアースの中でも主な産地が中国に限られる重希土類を全く使わないハイブリッド車(HV)用の駆動モーターを世界で初めて開発しました。

高性能磁石に不可欠だったジスプロシウムの代替技術もあります。日立金属と物質・材料研究機構がネオジム銅合金を使い、高い磁力を保つ新技術を開発、ジスプロシウムが要らない高性能磁石を先駆けて実現しました。

経済産業省も「脱レアアース化」を勧める方向で動いています。

ただ、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)にとって、レアアースが不可欠であることは間違いありません。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)のモーターのネオジム・鉄・ホウ素を主成分とする高性能ネオジム磁石の最大の欠点は、高温下で磁力が低下することです。それに対して、ジスプロシウムをネオジム磁石に添加すれば、高温での磁力の低下が抑えることができるのです。

このことから、ジスプロシウムほか、現代の電気自動車(EV)ハイブリッド車(HV)にとってレアアースが欠かせないものであることも否めません。

今後も代替技術への努力は進むことが予想されますが、ガソリン車から電気自動車(EV)へと大きくシフトされる自動車界において、レアアース代替戦略が追いつくかどうかは、今後を見守るところでしょう。

都市鉱山発掘

都市鉱山」という言葉があります。

こうした貴重なレアアースを、都市で大量に捨てられる携帯電話やパソコンといった家電品からリサイクルによって取り出していこうというのが、都市鉱山発掘というものです。「地上在庫」いう表現で語らえることもあります。

地味なイメージはありますが、これが大きな効果をもたらした事例があります。2020東京五輪で必要なメダルは、この都市鉱山から調達したというものです。

都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」のことで、2020年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会が、2017年4月から全国で携帯電話や小型家電の回収を呼びかけ、なんと銅は必要量の100%、銀は85.4%、金は93.7%をすでに回収したそうです。

メダル作成に必要な金は30.3キロ、銀は4,100キロ、銅は2,700キロだそうで、なんと100台の携帯電話から約3グラムの金が取れるそうです。かなりの数の小型家電や携帯電話が回収されたことになります。地道な作業も馬鹿にはならないですね.

Next: 日本に朗報?南鳥島EEZ内海底泥にレアアース発見

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