徹底したカード戦略「すべてはiphoneのため」
では、実際アップルカードがどのように機能するか、そこを詳しく述べてみましょう。
まず、申込者は審査に通ると、「Wallet」内でバーチャルカードが作られます。同時にチタン製の重厚な物理カードが送られてきます(ここまではすでに述べました)。
この段階でもすでに買い物すると物理カードでは還元率1%ですが、バーチャルカード、つまりApple Payを使えば、還元率は2%となります。1%上乗せされるのです。
さらにApple製品やアップルのサービスを利用すると、物理カードではやはり1%のままですが、バーチャルカードなら3%になります。
こうなるとスマホを使わないと損をすることになりますから、スマホでの囲い込みが強力なものになるとみられています。
実際のところ、Apple Payは現在稼働率がそれほど高くないと言われているので、このカンフル剤でApple Payが飛躍的に使われるようになると期待しています。
日本研究から生まれたアップルカード
このほかキャッシュバックでも工夫がなされています。
ポイントサービスではお得の実感が小さいので、毎日現金がウォレットに直接振り込まれるようにしたといいます。この辺は日本の影響というより、アマゾン等もこだわるところですから、シリコンバレー由来と言ったほうが良いでしょう。
しかし、スマホとの紐付けや自社製品購入でポイント倍付けにするところ、また物理カードに対する厳しい姿勢(冷遇)など、細かなところはいかにも日本的と言えるのではないでしょうか。
その他にも、データ漏洩を防止するために加盟店に個人情報は出さないトークナイゼーションの機能をつけていることも注目できます。これは日本のカード会社も見習って欲しいところです。今後厳しくなるGDPRによる個人情報の管理にも充分耐え得る仕組みだと思います。