fbpx

日経平均株価が2万2,000円を突破、2019年後半の株価はアルゴリズム売買でどう動く?=伊藤智洋

NYダウの4月12日の急上昇は下げる前の一時的な動きの公算も

前週末4月12日のNYダウは、269ドルを越える反発場面となっています。

本年後半に価格が下げると推測しているなら、当然、昨年末からの上昇は、昨年10月の高値2万6,951ドルを越えられずに下げると考えられます。だとすれば、4月5日の高値2万6,487ドルは、2万6,951ドルまであと少しの地点へ迫っているのですから、強い抵抗になっていると考えられます。

4月5日から4月11日までの動きでは、終値ベースで上値、下値を切り下げて、はっきりとした弱気の流れを作っています。2万6,487ドルを越えられないなら、12日に価格が反発しても、4月9日の高値2万6,246ドル程度が上値の限界になると推測できる場面です。

人の警戒感や恐怖心がある中で、取引が行われているのだとすれば、2万6,487ドルに上値の重さがある場合、12日の上げ幅はあらわれないと考えられる大きさのものです。したがって、12日の反発からは、戻り高値2万6,487ドルが強い抵抗になっていないと推測できます。

NYダウは、下げ方向に価格が動く場合、下げ幅が大きくなりやすい展開になっています。チャートを見ると、11日に終値で上値、下値を切り下げる動きになり、すでに下降の流れが勢いづいているなら、12日は寄り付きから下放れて、下げ幅の大きな動きになる可能性がありました。

それにもかかわらず、(NYダウの寄り付き前の)ダウ先物が上値を試す動きになっていたことで、12日は下げ難い状況があるということ、下降の流れへ入っているとしても、12日に積極的に値幅の大きな下げ場面へ入るわけではないことを示していました。

価格が下げ難いと推測できる展開ができている中、12日は中国の3月の貿易統計で輸出額の伸びが市場予想を大幅に上回る、JPモルガン・チェースの発表した2019年1~3月期決算が市場予想を上回る増収増益などのニュースがありました。

4月12日の上げ幅は、4月5日の高値2万6,487ドルが重い抵抗になっているとしても、12日に価格が下げにくい状況の中で、強気材料でエネルギーを補給して、上げられるだけ上げた結果の値位置であるという見方もできます

だとすれば、NYダウが、寄り付き値ですでに2万6,487ドルに接近していながら、2万6,487ドルを越える程度まで上げられなかった動きが納得できます。

人の考える値動きの範囲内で価格が動くという過去の値動き経験則を参考にするなら、12日の上昇は、強気有利な状況を示していて、週明け後の価格がさらに一段高を目指すと考えたくなる場面です。

しかし、単純に上げられるギリギリを試しているに過ぎないなら、週明け後、月曜日、ダウ先物は、早い時間帯から金曜日の高値付近で上値を抑えられて、下降を開始するはずです。

12日の結果は、月曜日の日経平均株価が寄り付き後、すぐに上値を抑えられる動きになるか、寄り付きで一段高の後、そのまま上昇の流れを作るかで見えてきます。

長くなってしまいましたが、結論としては、方向感のない状況において、人の思惑によってあらわれていた上値、下値の目安が通用しなくなっていると考えていた方がいいということです。

これは、チャート分析がまったく役に立たないと言っているわけではありません。チャートの示す強弱感を知っていなければ、その日の値動きが示す意味を推測することができません。

チャート分析は必要ですが、強弱の判断の仕方が形や値位置だけではなくなってきています。

NYダウ 日足(SBI証券提供)

NYダウ 日足(SBI証券提供)


※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2019年4月15日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(NY金の展望、日経平均の今後のシナリオ)もすぐ読めます。

【関連】アップルカード誕生は日本のおかげ、Suicaや楽天カードから学んでクレカ業界の頂点へ=岩田昭男

【関連】新紙幣の経済効果1.6兆円は大嘘、なぜ安倍政権はキャッシュレス化に逆行する発表をした?=斎藤満

【関連】金正男殺害すらも演出?世界に無視されると滅ぶ北朝鮮と、交渉を長引かせたい米国=江守哲

1 2 3 4 5

『少額投資家のための売買戦略』』(2019年4月15日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

有料メルマガ好評配信中

『少額投資家のための売買戦略』

[月額1,078円(税込)/月 毎月第2・第4日曜日(年末年始を除く)]
値動きには理由があります。一般的に言われているような確率や、需給の変化を見るだけでは、先のことなどわかりません。確率論や、統計データ分析をやりつくし、挫折を味わった経験があるからこそ、理解できた値動きの本質を書いてゆきます。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー