ついに始まる悲劇的なマネー逆流、12月FOMCは歴史の転換点
今週は重要指標及びイベントが目白押しですが、とりわけ重要なのはFOMCです。
- 12/14(月)…日銀短観、ECBドラギECB総裁発言
- 12/15(火)…米CPI
- 12/16(水)…FOMC&イエレンFRB議長会見
- 12/17(金)…日銀政策決定会合&黒田日銀総裁会見
リーマンショック以来となる金融緩和政策が終了して利上げが始まる歴史的な転換点となるので、FOMCが最も重要です。
マネーの方向性~日欧中銀による必死のリスクオン維持
リーマンショック対応から始まったFRBの量的緩和が昨年10月のFOMCで終了しました。今後は利上げと保有債券売却によるドルの回収が始まります。
他に供給する基軸通貨マネーが無いとマネー逆流になり過剰流動性相場は完全終了するところでしたが、間一髪のタイミングの昨年10末に日銀が追加緩和をしたことで、先進国に関してはリスクオフには歯止めが掛かりました。
その後、原油安やギリシャ政情不安が出てきたところで、今年3月から欧州ECBによる量的緩和も始まり、そして10月理事会後の定例会見で今年12月には更なる緩和があるとECBがアナウンスしました。
何もなければリスクオフになるところを、日欧の中央銀行が必死にマネー供給してリスクオンマーケットを維持しているというのが現状です。
FRB金融政策のポイント「市場の関心は来年末のFF金利水準」
FRB政策の今後のポイントは利上げ時期と債券回収時期です。本格的なマネー逆流は保有債券売却(市中からドル札を吸い上げる)でFRBのB/Sを削減し始める再来年以降ですが、利上げをするだけで対外ドル資産が米国に還流するので、グローバルのドル過剰流動性は減少します。
リーマンショック以降長く続いた緩和を引き締め転じるために、FRBは文言を少しずつ変更し慎重に利上げに向けた地ならしを進めてきました。
- ステップ1(~2014年11月)「相当な期間ゼロ金利を維持」
- ステップ2(2014年12月~)「相当な期間」と「辛抱強くなれる」の併用
- ステップ3(2015年1月~)「辛抱強くなれる」
- ステップ4(2014年3月)「辛抱強くなれる」を削除
- ステップ5 利上げが適切かどうかについて毎回議論(今年5月から今も)
- ステップ6 利上げ決定
今年5月からは毎回の会合でいつ利上げがあってもおかしくない状態が続いています。9月利上げが確実と思われていましたが、8月に世界を襲った混乱の様子を見るために延期をしていました。しかし、11月開催のFOMC以降、12月に利上げをするという強いメッセージをFOMCメンバーは打ち出すようになりました。
今月FOMCまでに出る指標で最も重要だった11月雇用統計は、マーケットコンセンサスを超過する良好な内容でしたし、先週発表の米小売売上高も良好だったので、経済指標面では利上げは確実です。
今週15-16日開催のFOMCで利上げが決定されないケースは、それまでの2日間で米国株が10%以上の下げが生じるなどくらいです。市場の関心も利上げがいつかではなく、どこまで金利は上がるか、来年末はどの程度になるかといった先の事になりました。
しかし、今月来月の株価にとって重要なのは終着の金利水準ではなく、利上げペースと利上げ幅と来年末時点での金利水準です。利上げがいつかの議論はもう終わりましたので、本日は以下のことを考えます。
FRBは来年末までに5回、市場は3回の利上げを想定しているが――
まず、来年末のFFレートのドット分布(FOMC参加者による予測平均)とマーケットコンセンサスは以下のようになっています。
- FRBが考える来年12末のFFレート:1.3%程度
- 金利先物市場から計算されるマーケットが期待する来年末のFFレート:50ベーシス程度
来年の利上げの回数はそれぞれこのようになっています。
- FRB:4回(3ヶ月に一度)
- 市場コンセンサス:2回(半年に一度)
とすると、今月の利上げを含めて、来年末までに5回の利上げがあるとFRBは考え、市場は3回あると考えているということです。そこで初回の利上げ幅は以下のようになります。
- FRB:25~30bps
- 市場コンセンサス:20bps弱
なので、今週開催のFOMCで利上げ幅が、20bpsならばマーケットは安心するでしょうし、25bps以上だとマーケットコンセンサスの利上げ回数でも75bpsになるので、ネガティブになります。