日銀に歪められた株式市場
通常、赤字経営とかキャッシュフローが悪いとか、悪材料の銘柄は買わないというのが「普通」の株式投資ですが、日銀の場合、個別銘柄選択ではなくETFを購入しているので、ETF構成銘柄であれば、赤字だろうが何だろうが関係なく購入することになります。
それゆえ、通常の「悪い企業は株価が下がる」という現象が起こりづらくなっているのが、正常な株式市場という観点からは「異常」と言えます。
日経新聞は、東証1部では過去10年間で5回以上赤字を計上した企業は計54社にのぼり、新日本科学など赤字の回数が8回に達した企業も存在することを指摘しています。
イメージとしてはETFは東証一部の企業を、ごそっとざるですくう感じと思ってください。すくったものを、購入者が細かく選別しているわけではないということです。
ただ単に、株価指数が上がればよいという感じですかね。これが後々、日本市場にとっては「怖い」ことになりそうだと思っています。
海外投資家が売れば日銀が買い支える
2018年、海外投資家は5兆7,488億円売り越しています。これに対して日銀は6兆5,040億円買い越しています。銀行や生保、個人も売っていますが、それを買い戻しているのはおそらく年金(給与所得者の将来の厚生年金等)だと思われます。
2017年は個人が5兆7,934億円と大きく売り越しているのに対し、日銀が5兆9,033億円買い越しています。
どう見ても、株価を下支えするために、誰であれ市場で売られた分を日銀が買い戻すことで、株価をなんとか維持させているという構図となっているようです。
いまの日本市場における数字は、実は実勢価ではなく、実体をともなわない虚構ではないかとも言いたくなりますね。
日経平均の実態は1万3,000円ぐらい?
現在日経平均株価が2万1,000円台をつけていますが、いろんな説があり実際の数字は分かりませんが、日銀や年金が買い支えなければ1万2,000〜1万3,000円ぐらいではないかという意見もあるようです。
もちろん1万2,000〜1万3,000円という数字は極端なのかもしれませんし、海外投資家が日本市場を買い支えているところもあり、日銀要素がどれだけいまの株価に反映しているのかはわからない部分も多く、株価への影響は限定的という意見もあります。
ただ、日銀がETF買いをやめるというアナウンスが出れば、投資家心理に大きな影響を及ぼすことは確かで、そのときの株価状況や経済状況では、大きく株価が下落することも考えられるのではないでしょうか。
このまま日銀が永遠にETFを買い続けることができるとは到底思えず、もし日銀がETF購入をやめたとしたら、日本の株価は一体どうなるのでしょうかね。
いま投資家の間で流行っている、前場急落の後場買いという「日銀プレー」はどうなるのでしょう。
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