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失業者を「引きこもり」と呼ぶ日本、政策失敗を個人の資質問題にすり替えている=児島康孝

工場の海外移転がデフレを生む

これは、日常生活で考えてもわかりますが、雇用が大規模に喪失した後は、そう簡単にお金を使える状態に戻りません

再び景気が良くなり、多くの人に雇用が行き渡るまで、10年・20年とかかります。

そこまできてやっと、インフレになるような、紙幣の流通量の過剰が問題になってくるわけです。

ですから、今の日本のように、40代・50代が大量にリストラされて収入を失ったような状態では、とても紙幣が余っているような状態にはならないわけです。

また、トランプ大統領は、アメリカ国内の工場=雇用を重視していますね。ここにグローバリストには欠けている視点があるからです。

例えば、ある工場が閉鎖され、海外に移転したとしましょう。その従業員は収入を失います。これは、グローバリストも認めていますね。

しかし、従業員は、その工場へ交通機関で通ったり、車で通っていました。電車やバスの運賃が支払われたり、ガソリンスタンドでガソリン代が支払われたり、こうした経済活動も消えてしまいます。

また、その途中で、カフェに寄ったり、レストランに寄ったり、スーパーで買い物したり、こういうことも、すべて失われてしまうのです。

工場が移転されなければ、近くに家を買っていたかもしれません。家を買えば、家具やカーペットも買い…というように、経済活動が循環するわけです。

しかし、工場が消えれば、徐々に途中の店も消え、家も買われなくなります。どんどん、悪くなるばかりです。

これがデフレ・スパイラルの一端です。

リストラがデフレ・スパイラルを引き起こす

これは、工場に限りません。

会社でリストラが行われ、従業員が減ると、近くの駅へ寄る人も減り、そこで何かを買うことも、減るということです。

ですから、工場の閉鎖や会社のリストラは、そこだけではなく、その周辺にデフレ・スパイラルを引き起こすわけです。

さらに、その従業員の子どもの学費が払えないとか、子ども服が買えないとか、従業員の家族間でも、デフレ・スパイラルは拡大します。

ですから、トランプ大統領が、懸命になって、工場の海外移転をやめさせようとしたり、しているのは、実は、波及効果が大きいのです。

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