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【Q&A】2016年の相場環境を理解する~投機筋に付け込まれた日米金融当局=矢口新

日米の金融政策のまずさに付け込んだヘッジファンドのパワープレー

<Q>
ヘッジファンドですか?

<A>
ヘッジファンドはパワープレーが得意です。大量に売買することで、市場価格を変動させるのです。得意というより、それしかできないような連中さえいます。年初来のこの変動幅は、ヘッジファンドによるものと考えていいと思います。

<Q>
日米の金融政策のまずさとは?

<A>
米連銀の利上げが遅すぎましたね。米連銀の巨大なバランスシートと、ゼロ金利は、共に空前のオペレーションで、それ程サブプライムショック、リーマンショック後の金融危機を深刻に捉えていたということです。この点は、素晴らしかったと思います。

しかし、その後7年間も緊急事態を想定した、いわば戒厳令下の金融政策を維持したのは間違いです。その間に米経済は一部で新たなバブル入りするまで回復しました。経済成長のサイクルが熟し、バブル環境下で利上げすると、景気減速、バブル崩壊の懸念が出てきます。

ドル高も同じですね。下図右上の米ドル指数と、対主要7通貨での米ドルのチャートを見て分かるのは、ここでの利上げは更なるドル高の危険性を孕むということです。通貨高は企業の競争力を低下させ、景気減速の要因となります。ちなみに、下の4つは現地通貨を中心に見ていますので、右肩下がりがドル高です(※参照チャート)。

これでは、米連銀が本当に予想通りに利上げできるのか、あるいは利上げした時に、米経済が成長を維持できるのかが不安になってきます。

このチャートで、もう1つ分かるのは、ドル高以上に強いのが円(左上)だと言うことです。ファンダメンタルズ的には経常黒字を反映、また2016年に入っては、投機筋のポジションも円ロングです。中国景気に減速懸念がある時に、この円高では、日本株が不安になりますね。

日本の金融政策のまずさとは、現状のように本格的な追加緩和の必要性が出ている時に、お茶を濁すような緩和政策を行ったり、当局者たちが様々なコメントを出すことです。

これでは、ヘッジファンドに付け込まれますね。

<Q>
まともなのは欧州中銀だけですか?

<A>
しかし、欧州中銀はサブプライムショック後の2008年に利上げをして、ユーロ圏周辺国危機の主因をつくりましたから、まともな金融政策だとは、とても言えませんね。

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