サラリーマンをやりながら会社をつくって損したこと
実は私自身、最初に起業した時はまだサラリーマンでしたが、法人を興してしまったために、損益通算をし損ねてしまいました。サラリーマンの時から、すでに経営者として10年の経験があったために、「個人事業主からスタートする」という考え方がなかったのです。
私の場合、兼業は1年もしませんでしたが、今にして思えば、「最初の1年だけでも損益通算できたな」とは思います。
個人事業主と法人化、その違いは?
では、個人事業主と法人化することの違いを、見てみることにしましょう。
<個人事業主は「社会保険料が安く」なる>
まず、個人事業主の場合は、国民健康保険と国民年金への加入となりますので、社会保険料を安く抑えることができます。ただし、個人事業主であっても、従業員を5名以上雇うと、社会保険への加入義務が発生します(※本特集は、基本的に消費税課税業者にならない方を対象とした内容となっております。個人で所得が2,000万~3,000万円を超えてくるような方は、記載した内容に当てはまるわけではございませんので、ご注意ください)
一方、事業を法人化すると、従業員が自分1人でも、厚生年金と健康保険への加入が義務付けられています。
当マネースクールに相談に来られた方で言うと、たとえば国民年金にご加入の場合、健康保険と合算しても月々2〜3万円くらいの負担で持てるものが、法人にした途端に、社会保険料が15万円、20万円の負担増になっているような事例をよく見かけます。
とはいえ、保障は厚生年金のほうが充実していますので、国民年金で足りない場合は別途、自分で対策を考える必要があります。
<法人はお金がかかる?>
続いて、法人に関してですが、設立費用や維持コストが、個人事業に比べて割高になります。法人のほうが会計が複雑になるため、税務コスト等が余分にかかります。
概算でお話ししますと、法人の最低維持コストが年間20万円くらいかかるのに対して、個人事業主の場合は、売上規模にもよりますが、年間5万円くらいから手続き代行を引き受けてくれるところもあります。
また、法人は事業が赤字でも、「均等割り」という法人住民税が最低、年に7万円かかります。
法人と個人事業の費用比較をする1例として、こんな話があります。ある時、私たちのスクールの会員で、個人事業主の方が突然、収支が悪化してしまったことがありました。悪化したということは、支出が増えたか、収入が減ったかの、いずれかしかありません。そこで、聞き取りを進めていくと、「実は法人を設立していた」、ということがありました。
たとえば、手取りでだいたい月60万円くらいの方の場合、法人にすることで、社会保険や税金、諸経費等で20万円くらいを取られてしまうことがザラにあります。ところが、これを個人事業主にすることで、こうした費用を3分の1くらいに圧縮できることが多いのです。
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