株価への反応は敏感…外国人投資家はストレート勝負
ここでは、ソニー株価の特徴がよく出ている局面に注目します。
<BPS“1”割れにストレートに反応>
2012年末から2013年初めの動きです。2013年は円安が進み、輸出関連企業は収益の大幅回復を背景に大きく上昇するのですが、ソニー株は他の国際優良株ほど上昇しません。2012年3月期から2013年3月期にかけてようやく赤字決算から水面浮上の状態であり利益の絶対水準は低くPERで論ずる株価ではありません。
さらに2014年以降も業績不振が予想される状況でした。しかしアベノミクスの入り口段階では、2012年末から数ヶ月で70%程急伸したのです。落ち着いた先の株価水準は2,000円強でした。答えは明確です。BPS“1”割れにあった株価が当時のBPSのレベルまで上昇したのです。その結果が70%の株価上昇となったのです。
外国人投資家による日本株投資が積極化する中でも、業績不振によりソニ─株に関して成長イメージをもって株価と向き合うことができませんでした。そこでソニーの下値不安の少ない株価水準、BPS“1”を当面の目標とし、買うことになったのです。その動きだけで70%も上昇したのです。BPSレベルまで短期間に買いあげたのです。日本の投資家はできるでしょうか、やはり外国人投資家のソニー感が相当入っていると見てよさそうです。
<大幅増益には、市場の逆風をついて買い上がる>
業績急回復の動きを示すと、ソニーファンともいえるであろう外国人投資家は積極的に反応します。株価は2018年の年央まで上り詰めることになります。2019年3月期EPSの700円強が予想される時点でソニー株を買い上がることになります。日本株はその時点では総じて下り坂に入りつつあるのですが、ソニーに関しての大幅増益予想を評価し市場の逆風をついての動きです。結果としてそれが高値を形成することになり、その後、急落します。
急落自体は東京市場から多くの外国人投資家の日本株撤退の動きの一環であります。ソニーが買い上げられた時点は、この引き上げが始まっている時期ですが、ソニーの増益予想にストレートに反応した格好の株価形成になりました。これまでの成長株の草分的な役割を演じたソニーへの思いが反映されているとも言えます。
これら2つのケースをみると、
・BPSレベルに復帰する短期間における株価急上昇
・利益の急伸をストレートに追いかける株価
という外国人投資家のソニーに対する投資スタンスが如実に反映される株価の動きです。
こうした投資家がどの程度の投資期間を想定してソニーの株価を取得するのか分かりませんが、ソニーに対する取得時の反応は普通の日本株と比べてとても敏感であるようです。
よく知っている銘柄あるいは株価的に馴染んだ銘柄への行動が速いことは古今東西のファンドマネジャーに共通です。
※本記事は有料メルマガ『資産運用のブティック街』2019年7月3日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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『資産運用のブティック街』(2019年7月3日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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