2. 昔買った株式を売って耐えるのみ。株式資産が底を付いたら…
冒頭で紹介した記事では、不慣れな債券運用で大損を出したとされている。
政策金利が1%に満たない超低金利で、動きを止められたなら、債券投資で利益を上げるのは極めて難しい。最も効率的な運用である「波動の山谷を取る」ことをしようにも、鏡のように凪いでしまったなら、やらない方が無難なのだ。
コアとなる国債運用からの利益が見込めない状態で、為替リスクのある外債運用は、過大なリスクを取ることにもなりかねない。
そこで、昔買った株式を売り続けているのが実情だ。私が記録を残している2005年以降、銀行が株式を買い越したのは2006年の1573億円の1度だけ。後は一貫して売り越しだ。
生保も似たような状態で、買い越しは2007年の679億円の1度だけ。株価が上げ始めた2013年などは、1兆円以上も売り越している。もっとも、生保の本業は与信(貸出)ではなく保険なので、銀行ほどには追い詰められていないのだが。
このことが示唆しているのは、超低金利政策が続く限り、金融機関による株売りが続くということだ。
売れるものがあるうちはまだいい。この状態で保有株が底をついたり、大きな値下がりで売れなくなった時には、本当の危機が訪れる。日銀が株式の売り手に回った時は、要注意だ。
またこの状態で、年金だけが上手く運用しているとは考えない方が無難だろう。
3. 企業倒産をぎりぎりで防いできた銀行、支えられなくなったら…
企業倒産が少ないのは、銀行が「ゾンビ企業」を支えてきたためでもある。
その銀行がゾンビとなり、経営統合などで不良資産を整理すれば、ゾンビ企業が成仏することになる。
ゾンビの成仏は経済の将来にはいいことなのだが、生きた人間がゾンビの外に追い出されることになるのが問題だ。
統合銀行と赤字企業から、どれだけの労働力が整理されるのだろうか?