WeWorkの不動産開発モデル: 5ステージごとの内訳
5つのステージごとにそれぞれどのぐらいの物件数が分布されているのかというのを見ると、現在は図の上のような状態になっています。
つまり、開拓中や契約中、そして構築中の物件が非常に多くあり、稼働している物件がまだまだ少ないという状況にあります。
下側の図が9か月後、10か月後、18か月後の想定される状況ですが、こうなってくると実際に稼働している物件が多くなり、より売上に直接貢献するようになるということになるのではないでしょうか。
現在のWeWorkの赤字が非常に大きいのは、開拓中あるいは契約待ち、あるいは工事中の物件が非常に多く、実際にそれらはコストはかかるものの、売上が発生していないからだと言えるのではないでしょうか。
利用者の継続率
これまでは物件開拓という側面での分析をしてみましたが、利用者側の側面からも見てみたいと思います。
利用者側の側面から見ると、WeWorkのサービスというのは非常に継続率の高いサービスであり、会員数ベースで見るとリテンションが119%もあるということになります。
2018年に新規獲得したメンバーシップのうち、35%はそれまでメンバーだった人から来ているということです。
資金需要が非常に大きいビジネスモデル
ここまで見てきたように、不動産という非常に時間がかかるビジネスにおいて、信じられないスピードで成長しているWeWorkですが、そのぶん信じられないほどお金がかかるビジネスでもあります。
2019年最初の半年間のキャッシュフローを見てみると、営業活動からのキャッシュフローが△$200M(約200億円)、投資によるキャッシュフローが△$2.4B(約2,400億円)、資金調達ファイナンスによるキャッシュフローつまり資金調達によるキャッシュフローが+$3.4B(約3,400億円)という具合に、ものすごい勢いでお金を調達して投資をしているということが読み取れます。2019年の6月末時点での現金相当が約$3B(約3,000億円)あることになりますが、半年間で$2.4B(約2,400億円)も投資をしてしまう会社なので、いくら現金があっても足りないという状況なのではないでしょうか。
これまではソフトバンクグループを中心に、プライベートに大きな資金調達をしてきましたが、今回のIPOでさらに大きく資金調達をしていく必要に駆られているとも読み取れます。