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GPIF運用益4.7兆円~それでも日本の公的年金は実質破綻している=近藤駿介

「将来の年金給付に必要な金額が分からない」酷すぎる現状

一般的に、確定給付型企業年金などは5年ごとの財政検証によって、将来年金受給者に支払う必要のある金額を推計し、実際に持っている年金資産が十分かどうかの判定を行っている。そして保有する年金資産が将来の給付額に対して不足する場合は、年金債務として会計上処理して行くことになる。

多くの大企業はこうした年金債務に伴う会計的負担に耐えられずに確定給付型年金から確定拠出型など、企業の負担が少ない年金制度に移行してきている。

ところが、公的年金の運用に関して「年金財政上、必要な額」は示されていない。

おそらくそれは、公的年金は、現役世代からの保険料収入がそのまま年金給付に回るという「賦課方式」を採用しているために、将来の負債は存在しないという考え方に基づいたものだからである。

つまり、「年金財政上、必要な額」というのが不明であるが故に、今回発表された139兆8249億円という金額が、将来の年金給付に必要な額と比較して十分なものであるのかチェックしようがないという状況になっている。

もし、将来年金給付に必要な金額が600兆円とか700兆円だとしたら、140兆円弱という運用資産額では心もとないことは論を俟たない。

当然、「4兆7302億円の黒字」など焼け石に水であるし、仮に運用資産額を8.4兆円減らしていたとしたら大問題ということになる。

年明け以降金融市場が不安定な展開を見せたことで、国会でも何回かGPIFの資産運用問題が取り上げられている。しかし、将来年金給付に必要な金額が明らかにされていないなかでは、「赤字だ、黒字だ」と言いあっても意味がないし、現在の基本ポートフォリオの是非を論じることもできない。

言い換えれば、将来年金給付に必要な金額がない中で作られた基本ポートフォリオは、何の意味もないものだとも言える。

現実と乖離した安倍総理やGPIFの説明

総理もGPIFも「年金財政上、必要な額を下回るリスクは小さい」としているが、実際に公的年金に関しては、「掛け金引き上げ」「給付額減額」「給付年齢引き上げ」という措置がとられている。

こうした措置は、金融的に言えば、実質破綻企業の延命策である「資金の早期回収」「支払額の減額」「支払期限の先延ばし」と同じである。

Next: 安倍総理やGPIFの言うことが「正しくない」ことの証拠とは?

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