ソフトウェアや人工知能で驚異の品質に
「スマートフォンのカメラは口径が小さいので、光源の弱い夜はノイズだらけになり、この欠点は絶対に克服できない」と巷で言われていた。
しかし、もうそれも過去の話になりつつある。グーグルが「Pixel 3」で見せた夜景モード(Night Sight)の技術は衝撃だった。グーグルはレンズの力ではなく、ソフトウェアの力で小さなレンズでも夜が鮮明に写せる技術を実用化させた。それは想像を超える品質だったのだ。
確かにレンズのみで克服できないのだが、それをソフトウェアで処理することによってコンデジ並みのクオリティにすることができるようになる。しかも、手ぶれ補正までソフトウェアで成し遂げている。
一方のアップルも、2019年9月10日の「アイフォーン11」の発表で、グーグルと同じく夜景モードを取り入れて、「Pixel 3」に追いつき、追い越していった。
アップルは、9枚の写真を合成して高解像度の写真を生成する「Deep Fusion」という機能も追加するので、写真の質はより劇的に向上していくことになる。
「一眼レフやコンデジではないとできない」ことが、どんどん消えている。
最も美しい写真に仕上げるために人工知能が駆使されているのだが、この人工知能が進化すればするほど写真は恐るべき品質に高まっていく。つまり、今後はスマートフォンがソフトウェアや人工知能で、もはや一眼レフを超えるような「驚異の品質」を作り出す時代がやってくる。
一眼レフやコンデジが盛り返すことは絶対にない
恐ろしいことに、この動きは始まったばかりである。スマートフォンの写真の品質は、これが限界ではないのだ。これからさらに飛躍していく。
これは何を意味しているのか。
それは一眼レフやコンデジはどこかの時点で「過去の遺物」になってしまうということだ。一眼レフやコンデジはプロフェッショナルの人々が使用する製品として完全に消滅することはないが、市場は限りなく狭い。
一眼レフの名門であるキヤノンやニコンはドラマチックな事業転換ができないのであれば、スマートフォンによって淘汰されてしまうことになる。
この10年で時代は完全に変わってしまい、一眼レフやコンデジが盛り返すことは絶対にない。