「経済的弱者は努力が足りない」は間違った批判だ
日本で経済的弱者が急増している。弱肉強食の資本主義が生み出す格差社会の中で経済環境が悪化し続けているのだから、蹴落とされてしまう人たちが増えているのは避けることができない。
2019年10月1日からは消費税が8%から10%になるのだが、経済苦境にある人々はますます窮地に陥っていく。当然、生きることすらもままならなくなる生活破綻者も増えていく。
特に、貯金も何も持たない高齢者が危機に直面する可能性が高い。そして、その次にシングルマザーの家庭も追い込まれてしまうだろう。
こういった人たちを追い込ませないで、きちんと保護するための制度が「生活保護」である。
生活保護を受けるような人間は努力が足りないと批判する人も多いが、これは明らかに間違いだ。どんなに努力しても、運もなく、環境にも恵まれず、体力や障害や病気や年齢に阻まれて、一定期間、這い上がるのが難しくて絶望に沈む人たちはいる。弱い立場に追い込まれ、餓死寸前にまで追い込まれ、一刻も早く救済しなければならない人たちも少なからずいる。
にも関わらず、一番保護されなければならない本当の弱者が保護されないことが、しばしばある。
いったいなぜ、このようなことになっているのか。
「不正受給」が真面目な日本人を激怒させている
日本人は他人に対して冷徹な民族ではない。本来は弱者をきちんと守ってあげたいと考える民族だ。団結力も強く、困っている人に対する配慮や気遣いは世界でもトップレベルにある。
それなのに、なぜ日本人は生活保護を受けようとする人たちを批判する風潮になっているのか。
それは、「一部の悪人」が生活保護を不正受給して、弱者の最も大切なセーフティーネットを食い物にしているという事実が次から次へと明らかになっているからだ。
働けるのに、わざと働かないで生活保護を不正受給する悪人もいる。本当は仕事をしているのに、仕事をしていないように見せかけて生活保護を不正受給する悪人もいる。
マンションを買うような金があったり、ベンツを買うような金があったりするのに、生活保護を不正受給する悪人もいる。本来は生活保護をもらう立場にない人間が、生活保護を受けながら、のうのうと遊んで暮らしている。
こうした不正が真面目な日本人を激怒させている。