応急措置を続けるNY連銀
ところが異例だったレポ取引はその日から連日続き、1日当たり最低750億ドルを市場に供給することを、2020年1月まで継続すると発表された。
とはいえ、売り戻し条件付きのレポ取引では、750億ドルを供給しても翌日には同額吸収し、また同額供給するので、いつまでたっても応急措置でしかない。
資金ひっ迫の原因が「四半期の法人税納付や国債入札の決済立て込みに伴う混乱」ならば、それで収まるのだが、本当に資金不足のところが出てきていたのなら、ほとんど役立たない。
そこで、FRBは10月15日から毎月600億ドル規模で短期国債を購入するとし、2020年の4−6月期まで継続すると発表した。仮に6月15日まで同額で続けると、4,800億ドルの資金供給となる。
そこでもFRBは「措置はテクニカルなもので、金融政策とは一線を画している」と述べた。
規制緩和でシャドーバンキング業者は命拾い
そしてFRBは10月10日に、米銀と外国銀行に対する自己資本比率と流動性カバレッジ比率規制の緩和を発表した。
流動性カバレッジ比率は金融危機を受けて導入していたもので、高品質の流動資産を、30日間の厳しいストレス環境下で必要とされる流動性以上に、保有することが義務付けられていた。
規制緩和は、資産規模に応じて4つのグループに分けて適用。
大手米銀など最上位の「カテゴリー1」は従来の規制と変わらないが、地銀などの「カテゴリー4」(総資産1,000億〜2,500億ドル)は規制が大幅に軽減されるか、全くなくなる。
つまり、「金融ストレスが発生すれば取り下げられるであろう短期の銀行与信に依存」していたシャドーバンキング業者は、当面、生き延びることができるのだ。
3回連続の米利下げ
そして、10月29日のFOMCでは、3回連続となる計0.75%利下げを行った。
9月17日に、翌日物レポ金利が一時10%に上昇したことは、フィッシャー副議長やウォレス教授の懸念が実現したことを示唆している。
そして、その後のFRBの一連の行動は、それが示唆に終わらずに、相当深刻なレベルであったことを表している。