ひとつのリスクシナリオとしてのバブル崩壊の可能性
過去のことを引き出して何が言いたいのかと問われそうだが、現在の相場状況が当時と似ている気がしたため、当時の状況を確認してみたのである。もちろん市場を取り巻く状況は大きく異なる。
しかも当時のバブルは日本だけで起きた特異な現象であり、国内での過去の出来事がいろいろと積み重なって生じたものといえる。
今回については米国を中心に日米欧な株価の上昇と国債の価格上昇が重なっていた。米国の株価指数はファンダメンタルズからはやや乖離した格好で過去最高値を更新した。この背景には中央銀行の金融緩和が大きな影響を与えていた。
株価が高値を更新し続けているなか、国債の価格が下落し始めた。ここからの中央銀行の追加緩和策はかなり限定されることも予想され、引き締めに転じることは仮になくても金融緩和で市場をフォローするにはどうやら限界も出てている。となれば財政政策となるかもしれないが、これは国債価格の下落に火に油を差すような事態ともなりかねない。
これはあくまでひとつのリスクシナリオであり、不安を煽るつもりはない。今回の国債の下落もあくまで一時的な調整という見方が素直で、いずれ歯止めが掛かり、株式市場ではゴルディロックス相場が続くことも当然ありうる。
ただ、今回の国債の下落相場をみて、ふと1989年当時の自分の記憶が蘇ったことで、
このようなシナリオもありうるかと思った次第である。
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『牛さん熊さんの本日の債券』2019年11月11日号より
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