穀物が家畜の肥料となる割合が増えている
穀物は人間が食べるだけではなく、先進国では穀物の6割(約4億トン)が、ウシ、ブタ、ニワトリなどの家畜のえさになっています。牛肉1キロ作るために穀物11キロ、豚肉1キロ作るために穀物7キロ、鶏肉1キロ作るために穀物4キロを消費しています。
結果として、世界の2割足らずの先進国に住む私たちが、世界の穀物の半分以上消費しているのです。
日本の消費で考えると、私たちの食生活において、第二次世界大戦以前と比べても、肉や卵を食べる量は10倍になっていて、その分、家畜のえさとして使う穀物の量も急増しています。
現在、えさ用のトウモロコシや大豆は90%が輸入しています。直近では、安倍総理が米国から大量のトウモロコシを輸入することを約束していましたね。
こうした穀物の消費の増加だけでなく、砂糖や植物油(ヤシ油)などのプランテーション作物を大量に輸入することで、途上国の生活にも大きくダメージを与えているのです。
家畜の肥料になるという要素は、非常に難しい問題ではありますが、とにかく無駄をなくそうというのが重要なのですね。
経済的な事情だけでなく、食糧に関しては必要な分だけを消費すればよく、過剰な流通は避けようというのが、ことの本質だと思います。
ただ各国の経済的な思惑が優先され、これはまさに、地球温暖化問題と同じ構図になっていると思われます。
賞味期限に敏感すぎる消費者
話をコンビニに戻しますが、コンビニやスーパーでは、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」は、その構造的な体質によるもののようです。
「食品ロス」を減らすために、賞味期限の表示を「年月日」から「年月」に切り替える動きが広がり始めました。たとえば、賞味期限が「2019年12月1日」の商品も「2019年12月31日」の商品も、「2019年12月」に表示を統一して前倒しします。賞味期間は最長で約1カ月短くなりますが、商品の到着が遅れて賞味期限が1日前後しただけで返品や廃棄することがなくなり、むしろ食品ロスの削減につながるとしています。
賞味期限とは、「未開封の状態で保管した場合に、おいしく食べられる目安となる期限」のことで、期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではないのですが、消費者は賞味期限の表示に敏感だというのもあるようです。
「3分の1ルール」とは?
この期限切れの商品が店頭に並ぶのを避けるため、食品メーカーと小売店の間では「3分の1ルール」という慣習が存在しています。
たとえば、賞味期間が6カ月の商品だと、卸業者は製造日から数えて賞味期間の「3分の1」にあたる2カ月以内にスーパーなどの小売店に納品し、納品が2カ月より遅れた商品は店頭に並ばず、卸業者からメーカーに返品されたり廃棄されたりしているのが現状です。
賞味期限前の商品が廃棄されているのです。
大手食品メーカーによると、返品された商品は「販売奨励金」を積んで別の小売店に買い取ってもらったり、ディスカウント店に転売したりしています。激安商品のからくりは、このようなコンビニやスーパーから返品されたものを専門にメーカーから仕入れているというところにあるようです。それでも引き取り手がないと、社内で無料で配布するなどしているようです。
賞味期限までの期間3分の1を過ぎただけで、商品価値は大きく下がるという風習が問題なのでしょう。
このルールは、賞味期限切れの商品が店頭に並ぶのを避けるために1990年代に始まったとされています。欧米にも同様のルールはありますが、この「3分の1」が米国では「2分の1」、欧州は「3分の2」となっています。
昨今、日本でもこのルールの見直しがされていて、「2分の1」にする動きが出てきています。
流通経済研究所の推計では、卸業者からメーカーに返品される加工食品は2017年度に562億円(出荷額ベース)このうち2割はディスカウント店などに回り、8割は捨てられていたとのことです。
先ほどのルール変更で「3分の1」を「2分の1」にするだけで、年間4万トン(約87億円分)の廃棄が減らされるそうです。
食品廃棄が減ると二酸化炭素排出量も減ります。