自動車産業は世界的再編の途上、特定国が関与すべきものではない
経産省が通産省だった昭和の時代には、確かに有能な官僚が産業のグランドデザインを描き、民間企業を主導して国内で大きな発展を遂げることに深く寄与した時代があったことは紛れもない事実です。
しかし、90年代以降の経産省の関与はもはや前時代的で、日本企業を守り抜こうとする動きが次々と裏目に出ているのが実情です。
ルネサスやジャパンディスプレイの件などを見ていると、完全に市場・業界動向と逆行した動きをとっていることがよくわかります。
自動車産業もしかりで、EV化が進み自動運転の普及で個別所有から社会インフラ化・サブスク化が進み、そもそも市場のリーダーシップがややもすれば既存の自動車メーカーではなくなりつつあります。
そのなかで、旧来からのビジネススキームを国産で守り抜くために、ルノーを日産と三菱から排除することに奔走し、政権までもがそれに加担するというのは完全に時代錯誤の領域に入ってきているといえます。
検察の対応は明らかにおかしい
そうでなくても国内の産業・経済はもはやズタズタな状況ですから、もっと革新的で国民にわかりやすい青写真が必要になってきていることは言うまでもありません。
確かにゴーン自身が相当カネに汚く、しかも今回のような逃亡を企てたことなどは、すべて肯定されるものではありません。
しかし、検察の対応は明らかにおかしなものがあり、それに政権や官邸さらに経産省が組しているとなれば、もはや見て見ぬふりをしてはいられない状況です。
そうでなくても、「桜を見る会」の政治資金規正法違反問題しかり、現職大臣の公職選挙法違反問題しかり、政権の当事者とそれに近い人間がまったく司法によって罰せられない状況と、ゴーンの逮捕騒動は、相当なコントラストを描いていることは間違いありません。