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コロナ危機がアメリカを分断する日〜波乱の大統領選を経て戦争勃発へ=俣野成敏

2. この1ヶ月のマーケットの動き

<ポイント:今回のコロナ危機は、リーマン・ショックを超える>

俣野:続いて、市場の動きについては、いかがでしょうか?

大前:いまだ、マーケットはショック状態にあります。非常にマズイ状態です。正確な数字は、これから出てくることになりますが、酷い結果になることは、覚悟しなければなりません。

今回のコロナ危機は、これまで経験したことのない事態のため、AIの判断基準となるデータがありません。そのため、アメリカの政策金利見通し(ドットチャート)も、割り出しができない状態となっています。

「いつ、これが収束するのか?」というのが見えなければ、期間を決めることができず、計算もできないわけです。

石油価格も、暴落が続いています。今回の件によって、企業の減産や需要が低下することが予想されたことから、2月末には目安価格の50ドルを下回りました。そこに追い打ちをかけたのが、ロシアとサウジアラビアの対立です。

3月に入り、OPEC(石油輸出国機構)とその他の産油国からなるOPECプラスは、ロシアが減産に合意しなかったことから、協議が決裂します。

サウジアラビアが対抗処置として、4月から原油の増産を発表したことで、20日のニューヨーク先物では一時19ドル台を付けるなど、18年ぶりの安値となりました。(日経新聞Web版、2020年3月21日)

なぜ両国がこのような行動に出たのかについては、ロシアがアメリカのシェールガスに打撃を与えることを狙ったとか、サウジのムハンマド皇太子が国内での影響力を拡大するため、といった説などが出ています(Sputnik日本、3月11日、日経新聞Web版、2020年3月8日)。

もしかしたら、中東あたりで戦争が起きるかもしれません。

世界経済は、明らかにスローダウンから、リセッション(景気後退)の局面に入っています。日本はこれによって、一気にデフレ経済に逆戻りするでしょう。

これまで、リーマン・ショック以来、世界では国がリーダーシップを発揮し、中央銀行が歩調を合わせた金融政策を打ち出すことで、株高を誘導してきました。今まではそれが功を奏し、アメリカを始め、世界的な株高となって、経済を牽引してきました。

2008年の世界金融危機の際には、各国が素早く対応することで、経済が崩壊するのを食い止めることに成功しました。

でも今回はもう、お金がありません。この騒ぎによって、破綻する中央銀行が出てきてもおかしくない状況です。

日銀も危ない?

俣野:日銀も危ないのではないでしょうか。

大前:日銀は3月16日、市場の動揺に対応するための金融政策決定会合を2日間、前倒しで開催。それまで、年間6兆円としてきたETF(上場投資信託)の購入目標を年間12兆円に増やした他、企業が短期資金を調達するCP(コマーシャルペーパー)や社債の購入、中小企業の資金繰り支援のための資金供給も拡充すると発表しました。

俣野:市場は一瞬、この対応に反応したものの、この分では、株価はすぐには戻りそうもないですね。

大前:金融システムがマーケットに異常な歪みをもたらし、金融危機を引き起こしたリーマン・ショックの時と違い、今回は、新型肺炎の流行を少しでも早く終わらせるために、実際の経済活動を制限しています。

リーマン・ショックの時は、金融から実体経済に波及するまでにタイムラグがありましたが、今回はダイレクトですから、「流行の収束が見通せない中でも、とにかくできることは何でもやろう」ということなのでしょう。

Next: 日銀の黒田総裁は、日銀のETF購入について、「経済や物価にプラスの影響――

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