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「万年割安」の商社株と原油相場をどう見るか=山崎和邦

商社株とコモディティ相場

商社株は「万年割安株」で見直される機会は少ない。

扱う商品の価格が下がれば利幅は減る。変動商品を扱う企業の株価はそうなりやすい。金利が下がれば銀行の利益は減ることと同じである。

現にマイナス金利の導入を決めた時にメガバンクの株価が一斉に売られた。コモデティを扱うのだから当然に扱い商品の価格変動の影響を受ける。

資源主力の三井物産はその典型だ。79年にホメイニ師がパーレビ国王を追放して政変が起きた時のイラン原油開発に比重を掛けた三井物産の痛手は大きかった。これは価格変動よりも大きいカントリー・リスクである。

三井物産は扱う商品の7割が天然資源だと言う。こういう不安定なものを扱うビジネスモデルは、割安に評価されるが一方、旨みもあるということになる。三井物産の株価が、良く言えば躍動的、悪く言えば不安定なのはそのためだ。

扱う主力商品の種類によって当該商社のリスクも旨みも違ってくる。

商社株はPERから見てもPBRから見ても割安である。銀行株がPBRからみて割安であることと共通している。株価は常に未来を買う。現在の価値に興味はない。商社株の性質、買い時、売り時と言っても、大勢には逆らえないから大勢に乗ることを優先して考えることが現実的であろう。

原油相場

米国の指標であるWTI原油は、Wボトム(毛抜き底)を形成したが、45ドルまで来るとシェールオイル企業が採算に乗るから当面は35ドル~45ドルのレンジであろう。日本株が大天井を突いてから、WTI投信へ投資しておられる読者が多いということが読者の質問やセミナー後の懇親会から分かったので、メルマガでも多少の見通しは述べている。

株価動因の主力の1つが原油である。39ドルから明らかにリスクオンの流れに変わった。原油相場は2月底打ちして上昇。リスクオンの流れになってきた。NY原油は4週連続の上昇。26ドル台から37ドル台へ42%上昇。そして40ドル乗せした。

昨年3~-6月にかけての上昇以来である。その時は11週上げた。一応、2月で底を打ったと言える。NY原油はFOMC後のドル安を受けて40ドル台を回復した。3ヶ月半ぶりの40.36ドルを付けた。WTIは1,74ドル高の40.2ドルで引けた。

では、どこまで戻せるか。2008年12月~2009年2月までリーマンショックの嵐の中、3本連続で月足は下ヒゲをつけて上昇した。今回も下ひげを連続して上昇してきた。リーマンショック時のパターンに似てきた。それなりに戻ってきてもおかしくない。

今月20日以降、産油国の会合が行われる。ちなみにゴールドマンサックスGSが11日(金)に見通しを出した。在庫が積みあがってきているから弱いという。今後数週間大幅に下落すると言う。

誰がいつ何を言おうと自由だが、筆者はGSを実のところ逆指標の参考にしてきた。「曲がり屋に向かえ」という。産油国の会合では何も決まらない可能性は高いが、それも織り込んだろう。一旦売られても、又上げてくるのではなかろうか?

一方、主要産油国の4月の会合で増産の凍結に合意するだろうという思惑もある。原油の在庫が4月まで増加しても思ったほど下がらないのならば、既報で既述の通り、買戻しが一気に入るかもしれない。

Next: 【補足】ノルウェイ政府系ファンドについて

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