自治体も国民も「休業」に耐えるための金がない
政府や各自治体が思い切った感染抑制策に打って出られない背景の1つに、財政的な制約があります。
都市封鎖(ロックダウン)などでヒト・モノの動きを封じ込めれば、感染の拡大は抑えられるのですが、その間の生活保障、休業補償にはお金がかかります。首都圏の県知事の中には、「休業要請するにも、補償金を出す財政的余力がない」との不満の声も聞かれます。
東京都も、接待を伴う飲食店・カラオケなどに時短を求めましたが、休業要請すればそれだけ資金が必要です。しかし、さすがの東京都も財政が底をつきました。
そこで時短に協力した企業に20万円のオファーとなったのですが、20万円では損失の補填はできないところがほとんどです。
政府も第2次補正予算までの段階で、新規の国債発行が90兆円に上り、財政再建の目標は事実上旗を降ろしました。
それでも、相次ぐ自然災害とコロナ禍が同時進行しているため、金銭的にも人的支援の面でも動きが取れなくなっています。
臨時国会から逃走、生活苦を無視する「無政府状態」
しかも、通常国会が会期延長なしに閉会し、秋の臨時国会もいつ開かれるかわからない状況で、かつてない危機に、なかば「無政府状態」でコロナ対応は地方や国民任せになっています。
その中で全国的に感染が拡大し、個別に緊急事態宣言を出す地域も出てきました。安倍政権は感染抑制と経済を回すことを同時に求めてきましたが、結局どちらも達成できずに、新たな対応を迫られています。
こうしたやり方を続けていれば、財政資金はいくらあっても足りません。いずれ財政の破綻に行き着きます。
いざという時の「10兆円」はウソだったのか?
政府は通常国会の会期延長を拒んだ際、第2次補正予算で10兆円の予備費を用意したので、いざという時にはこれを使うと説明し、その目度として、雇用調整助成金など雇用維持や生活支援に1兆円、持続化給付金・家賃保証などの事業支援に2兆円、地方向け医療体制強化に2兆円を充てると説明しました。
今はこれを活用するしかないのですが、これも具体的な形で機能していません。経済崩壊と財政破綻を避けるために、この10兆円の活用法を考える必要があります。