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「企業に減税、個人に増税」の安倍政権。セルフ経済制裁で日本は沈みゆく=斎藤満

コロナ禍で経済のグローバル展開が行き詰まった今、日本の活路は内需拡大にしかありません。しかし、政府の無策でそれも絶望的な状況になっています。政策面では、これまでの「企業に減税、個人に増税」の是正が必要です。消費税の引き下げも検討に値します。企業は下げすぎた労働分配率を、長期平均的なレベルに戻すことを考える必要があります。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

【関連】日本人は本当に生産性が低かった。私たちの年収が世界最速で下がるワケ=吉田繁治

※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2020年8月24日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

2つの反グローバル台風

経済のグローバル展開が行き詰まった今、改めて消費中心の内需振興が喫緊の課題となりました。

かつて「国内の1億よりも世界の50億市場をターゲットに」の合言葉で日本は高成長を果たしましたが、強すぎる日本企業は世界から警戒され、日本抑え込みのルールまで作成されたこともあります。

しかし、ここへきて日本のグローバル戦略に「待った」をかける2つの台風が吹き荒れています。

<1つ目の台風:トランプ政権>

1つは皮肉にも安倍総理が頼りにしてきたトランプ政権です。トランプ政権はあからさまな反グローバル主義を前面に出し、中国やメキシコなどで生産する米国のグローバル企業を脅したりすかしたりして、国内に戻るよう様々な手を打ちました。海外からの輸入関税を引き上げ、国内回帰する企業には税の優遇措置を与えました。

そして周知の米国第一主義のもと、NAFTA(北米自由貿易協定)を米国の利益型に修正しWTO(世界貿易機関)を無視し、EUや中国、日本とも厳しい通商交渉を展開して対米輸出を減らそうとしてきました。このところ日本の対米自動車輸出が急減していますが、トランプ台風による面も少なくありません。

<2つ目の台風:新型コロナウイルス>

そして2つ目が新型コロナウイルスです。感染が世界に広がり、ヒト・モノ・カネの流れが途絶え、コロナパンデミックが進んだ3月以降、世界貿易は3か月の間に10%以上も急縮小する破壊力を発揮しました。

4-6月の日本の輸出は18.5%も減り、日本のGDPを3%以上も縮小させました。海外からの部品が入らずに国内生産も止まったケースも少なくありません。

コロナのために、外国人観光客は前年比99.9%減り、インバウンドを当てにしていた観光やデパート、ホテル旅館などは大打撃を受けましたが、これは国内需要では到底カバーできない規模のダメージとなりました。これらは「サービス輸出」の大幅減をもたらしました。

Next: 日本経済の活路は個人消費の拡大のみ。「4割経済」で生き残れるのか…

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