スポーツ界の人種差別反対
黒人などへの人種差別反対の抗議活動が全国的に高まり、これへの強権的な制圧がむしろ保守派の支持率を高めるとして、トランプ陣営はデモなどへの強気姿勢を崩していません。それが岩盤支持層へのサービスと理解していたからです。
ところが、全米オープンテニスで大坂なおみ選手が優勝し、7試合全部に犠牲となった7人の黒人男性の名を書いたマスクを着用し、自ら「アスリートである前に私はひとりの黒人だ」と言って、広くメディアを通じて人種差別への抗議を行い、これが広く受け入れられました。大坂選手は新たなヒロインと目され、人種問題に大きな波紋を投げかけました。
その前から全米フットボール協会、米大リーグも人種差別に抗議して試合をボイコットしています。白人優越主義を隠さず、あえて人種差別反対の抗議運動を弾圧してきたトランプ政権には大きな逆風となりました。
実際、今回のロイターの調査でも、郊外の白人有権者で、犯罪や社会混乱を厳しく取り締まるべき、とする人は11%(2週間前は15%)に減りました。
再選は絶望的か
またトランプ大統領が「ただの風邪」と無視してきた新型コロナへの戦略もぐらついています。
上の調査で白人有権者の27%が、「コロナ対応が最も重要」と答えています。トランプ陣営の選挙戦略も、最後にきてほころびが見えるようになりました。
10%未満の差なら負けには入らないと、再選に自信を示していたトランプ大統領にも、いささか不安な表情が見えるようになりました。最後の最後で、またどんでん返しが起きる可能性が出てきました。
これで選挙前に株式市場の混乱でも起きれば、トランプ氏はいよいよピンチとなります。
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『マンさんの経済あらかると』(2020年9月7日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。