台湾に這い寄る米国と、それを嫌う中国
このようなトンデモ大統領がトップを務める国が、いまだによく回っていると感じざるを得ない。周りがまともなのだろう。その周辺を取り巻くスタッフも大変だろうが、いろいろ進言してきた側近たちの多くはすでに辞めている。それだけ、トランプ大統領がまともではなかったのである。
ちなみに、米バイオ医薬品企業モデルナは、18日付の米証券取引委員会(SEC)への届出書で、同社の新型コロナウイルスワクチン候補の年内の生産量が約2,000万回接種分に達するとの見通しを示している。そのうえで、来年の生産量については5億〜10億回分と見込んでいる。徐々にワクチン開発が進み、世界中で使われるようになって欲しいものである。
さて、米中対立は様々なところで見られている。特に中国は、米国と台湾の関係強化の動きに神経をとがらせているようである。
米国は台湾の李元総統の葬儀に合わせ、クラック国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)一行を台湾に派遣した。クラック氏は蔡英文総統ら政権幹部と相次いで会談している。
一方、台湾国防部は18日、中国軍の戦闘機18機が同日、台湾海峡の中間線を越えて台湾の防空識別圏に入り、台湾空軍機がスクランブル(緊急発進)したと発表した。台湾では前日から米政府高官が訪問しており、18日は蔡英文総統と会談する予定だった。中国国防省は18日から台湾海峡付近で軍事演習を開始したと発表していた。台湾総統府は中国に自制を求めた。
中国国防省の任国強報道官は、人民解放軍の東部戦区が参加し、台湾海峡の近くで演習を実施していると明らかにし、「台湾海峡における現状への対応で、中国の国家主権と領土の一体性を守るためだ」と説明した。台湾は純粋に中国国内の問題であるとし、外国の介入を拒否する姿勢を示している。
任報道官は「最近、台湾の民主進歩党(与党民進党)と米国が結託を強め、しばしば問題を引き起こしている」と指摘。「台湾を利用して中国をコントロールしようとしたり、外国人を頼りに独立しようというのは考えが甘く、いずれ行き詰まる」とし、「火遊びする者はやけどする」としている。中国の焦りを感じる発言である。
「台湾」という逆鱗に触れたトランプ
一方、中国人民日報傘下の有力国際情報紙である環球時報の胡錫進編集長は、中国版ツイッターの微博(ウェイボー)上で、「軍事演習は、必要となれば台湾を攻撃するための準備だ」とし、「米国務長官や国防長官が台湾を訪問すれば、人民解放軍の戦闘機が台湾上空に飛来し行動する」と強い口調で非難している。
これはかなり厳しい内容の発言であるといえる。
その一方で、台湾総統府の報道官は、「台湾海峡や周辺地域で最近見られる中国の好戦的行動は、中国の国際社会におけるイメージに良くない影響を与えかねない」とし、「市民に対しては軍が状況を十分把握している」として、心配しないよう呼び掛けた。
ここでも確認できるように、中国は「台湾」というキーワードにはきわめて敏感である。
今回の中国の行動に対して、台湾空軍機は緊急発進するとともに、ミサイル防衛システムで中国軍機の動きを監視していたという。国防部は地図で中国軍機の飛行経路を示している。8月にアザー米厚生長官が台湾を訪問した際も、中国軍機が一時中間線を越えて台湾の防空識別圏に入っている。米国に対するけん制はますますエスカレートしている。
ポンペオ米国務長官は中国の対応を非難し、米国防総省も声明で、「中国が軍隊を脅迫の道具として利用した新たな一例」と指摘。そのうえで、「中国人民解放軍の挑戦的で安定性を損なう対応は、現状を変え、歴史を書き換えるための継続的な試みを反映している」としている。