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選挙に勝って中国に負けるトランプ。次の4年間で米国は凋落する=江守哲

得意の「二枚舌」で米国を牽制する習近平

一方、中国の習近平国家主席は、コロナ対応で世界的な結束と協調を訴えると同時に、「冷戦や武力に訴える戦いのいずれも展開する意向はない」と強調している。要は、戦争はしたくないということである。しかし、その一方で、アジアでの領土拡大を目論んでいる。完全なる「二枚舌外交」である。

習氏は、「科学に基づく指針に沿って、WHOが全面的に主導的役割を担い、連携した国際的対応が必要だ」とした上で「コロナを政治化し、汚名を着せようとする試みに反対しなければならない」とトランプ政権を露骨にけん制している。

また、名指しは避けながらも、トランプ大統領を暗に批判し、「いかなる国も世界情勢を支配したり、他国の運命をコントロールしたり、発展の優位性を独り占めしたりする権利はない。ましてや、好き放題やり、世界の覇権国やいじめっ子、ボスになることを許されるべきではない。一国主義は行き詰まる」と主張している。

以前は仲が良かった二人だが、これらの発言があくまで国の代表としてのものであり、実際には依然として仲が良いのか、それともコロナを機に完全に関係が壊れたのか、非常に判断が難しいところである。

いずれにしても、最近の米国の言動は行き過ぎている。習主席が怒ったとしても仕方がないだろう。

米中開戦のインパクトは大きい

中国サイドからは、張軍国連大使も怒りをぶちまけている。張氏は演説で、「中国は根拠ない非難に断固として反対する」と言明している。立場上、そのような発言にならざるを得ないだろう。

WHOもトランプ大統領の主張に反論している。これは非常に興味深い。WHOは「1月14日時点で人から人への感染の可能性を伝え、2月以降には無症状や発症前の人からの感染について可能性を指摘してきた」と説明している。しかし、日本にいる我々には、そのような認識があったとは言えないだろう。まだ、そこまで深刻な状況になるとはだれも想像していなかったからである。

一方、グテレス国連事務総長は、「米中対立を受けて、世界が非常に危険な方向に向かっている」と危惧を表明した。そのうえで、「2大経済大国が独自の貿易・金融ルール、インターネットや人工知能の技術を持ち、世界を分裂させてしまうような未来を世界は望まない」とし、「新たな冷戦を避けるためにあらゆる手を尽くす必要がある」と訴えている。

しかし、実際には何もできないだろう。これまでの対立はあくまで両国間の問題であり、それを他国がとやかく言うものではない。

とはいえ、両国関係が悪化した際の、世界情勢に与えるインパクトは計り知れない。この点は理解していかなければならないだろう。

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