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選挙に勝って中国に負けるトランプ。次の4年間で米国は凋落する=江守哲

激しさを増す太平洋での「陣取り合戦」

このように、米国と中国の争いは絶えないが、一方で太平洋での「陣取り合戦」も激しさを増しているようである。

人口2万人に満たない西太平洋の島国パラオは先月、同国を訪れたエスパー米国防長官に米軍基地を受け入れる意向を伝達した。一方、中国は南太平洋のバヌアツとソロモン諸島に軍事拠点設置を提案したとされている。米中両国の軍事的せめぎ合いは太平洋全域に広がりつつある。

パラオのレメンゲサウ大統領は、エスパー氏に手渡した書簡について、「米軍へのお願いは単純だ」とし、「共同使用の基地を建設して定期的に使ってほしい」と要請している。パラオはフィリピンの東方約1000キロ、伊豆諸島やグアムを結ぶ「第2列島線」上に位置する。中国は第2列島線域内で制空・制海権確保を目指しており、パラオは中国の軍事的圧力にさらされていた。

レメンゲサウ大統領は書簡の中で「米軍はパラオが国防権限を米国に委ねる自由連合盟約をもっと活用すべきだ」と主張。基地や港湾、滑走路の建設を提案した上、沿岸警備隊の駐留も受け入れる考えを示している。

一方、中国は太平洋島しょ国に多額の資金援助を持ち掛け、これまで影響圏の拡大を図ってきた。昨年にはキリバスとソロモン諸島が台湾と断交して中国と国交を樹立した。

米国防総省は今月公表の報告書で、中国がアフリカ南西部のナミビアに加え、南太平洋のバヌアツとソロモン諸島に軍事用補給拠点の設置を打診した可能性があると警戒感を示している。また、中国が沖縄からフィリピンを結ぶ「第1列島線」を越える戦力投射能力を獲得しつつあることに、米軍は神経をとがらせているとみられる。

エスパー氏が国防長官として初めてパラオを訪れた裏には、第2列島線での米軍の態勢を強化し、台湾海峡や東シナ海、南シナ海を含む第1列島線内の米軍の活動を支援する狙いがあるとみられている。パラオとしても、中国から身を守るために、米国に頼ることは意味があるだろう。

中国が覇権国家への道を歩み始めた

これまでの米中対立は、比較的経済面でが中心だった。ごくまれに軍事的な材料が取り上げられるぐらいである。戦争をしたくない米国としても、中国を疲弊させるために経済を持ち出した経緯がある。しかし、ここにきて少し様相が変わってきたようにも感じられる。

中国が香港の一国二制度を形骸化させたことで、米国の中国への警戒感はこれまで以上に強まっている。そして、台湾やアジア近隣での中国の動きが活発化し始めている。これまでの経済の範疇にとどまらない米中対立に発展すれば、それはいよいよ従来型に近い形での覇権国家の移行の儀式が始まることにもつながる。

産業革命、基軸通貨、金融センター、そして戦争という覇権国家の移行が起きるときに見られる事象は、中国側の準備が徐々に進んでいるように感じられる。しかし、まずは戦争が起き、その結果として中国が真の力を保持し、金融センターを拡大し、人民元を基軸通貨に据えることになるだろう。

その意味では、そのまえに中国が米国を上回るほどの経済大国になる必要がある。その準備はまだできていないだろう。これを粛々と進め、完了したあかつきには、中国がいよいよ本格的に野心をもって覇権国家としての地位を得るために、積極的に国際社会に仕掛けていくだろう。そうなれば、米国はひとたまりもないだろう。

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