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「発達障害」はこれからの日本で武器になる。ASD児を育てる私が確信した理由=午堂登紀雄

先天的なもので「治る」ことはない

これらの特徴は、療育(児童発達支援教育)等によって多少の底上げが可能で、学校や会社でも問題ない程度まで改善は可能です。

とはいえ、遺伝でもなければ後天的なものでもなく、そもそも先天的な脳機能の異常なので、「治る」といったことはありません。

遺伝など複数の因子が絡み合っていると言われるものの原因はよくわかっておらず、胎児のときに中枢神経系が影響を受け、脳に異常が起こると言われています。

かつては遺伝説が有力でしたが、どの因子も直接的な因果関係は証明されてはいません。定型発達の親から生まれることも発達障害の親から生まれることもあり、遺伝原因説は現時点での医学では否定されているようです。ちなみに次男は定型発達(健常)です。

ただ相関関係は指摘されており、米国の調査では「夫側の年齢が高い場合に発達障害児が生まれる傾向がある」そうです。

そういえば私も43歳のときの息子なので、もしかしたらそうかもしれないな、と思います。

発達障害者は社会の邪魔者・お荷物なのか?

さて、本題に入りますが、前述の男性のような「発達障害はキモい」という発想をする人は、発達障害者を人間として欠陥がある不自然な存在だとか、周囲に迷惑をかける社会の邪魔者とか、支援のために税金が使われることから社会のお荷物などと捉えているのでしょう。

ネットを検索してみても、そういう意見がありますし、たとえば2016年に起こった神奈川県相模原市の障害者福祉施設での大量殺人事件も、そういう思想を持った人間の犯行でした。

しかし、本当にそうなのでしょうか?

ここからは自己弁護になってしまうことを承知の上で、私の個人的見解をご紹介します(自己弁護になるのはある意味当然で、私は自分の子どもを守りたいし、守らなければならないからです)。

環境適応のために生まれる「変異種」

ひとつには、生息環境に対する適応の1つのあり方に過ぎないという考え方があります。

適者生存の法則を前提にすれば、発達障害者は淘汰されるはずですが、そうはなっていない。

ではどういう意味があるのか?どんな生物にも、一定割合で変異種が生まれるのですが、それは疫病の流行などによってその種が全滅する事態を防ぐためという説があります。

つまり変異種は、平時では鼻つまみ者扱いされる存在ですが、非常時にはその特性を発揮し、その種族の絶滅から救う存在であるかもしれない、というわけです。

実際、発達障害者は孤独・孤立しやすいのですが、それはたとえば窮屈な群れを抜け出し、一人で外の世界に果敢に飛び込んで行くようなもの、と言えるかもしれません。

元の社会が仮に地震や洪水で滅んだとしても、外で別の社会を作っていれば、崩壊や全滅は防げます。あるいは新しいコミュニティで新しい価値が生まれることもある。いつの時代も新しい時代を切り開くのは、そういう異端児だったように。

Next: 過去の偉人の多くは発達障害?世界トップクラスの研究者にも存在する

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