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「発達障害」はこれからの日本で武器になる。ASD児を育てる私が確信した理由=午堂登紀雄

本人が情熱を注げる対象を見つける

あくまで一般的にですが、発達障害者は集中力が高く、それゆえに特定の分野で突出した才能を発揮することがあるというのは述べた通りです。

実際、先のイーロン・マスク氏も同様に、5〜6歳のころから「下界と断絶して1つのことに全神経を集中させる術を身に着けた」そうで、彼は幼児のころから時々宙を見つめて考えごとにふけることがあり、話しかけても微動だにしないため、母親は聴覚障害を疑ったほどだったそうです。

そこで私は自分の息子には、とにかく本人が情熱を注げる対象を見つけられるよう、そこにフォーカスしてサポートしていきたいと考えています。

なぜなら、夢中になれるものでそれが仕事として成立するなら、自閉症特有の集中力の高さが本人の才能を常人以上に発揮させることにつながり、一般的には不利とされるコミュニケーション不全も社会で受け入れてもらえやすい可能性があるからです。

そうやって特徴や傾向を把握したうえでの職業の可能性や、定型発達(いわゆる普通の子)を前提にした社会構造の中でも対応方法があることを知ることで心の準備ができ、3歳の時の診断結果も素直に受け入れることができました。

そして発達障害を隠すのではなくカミングアウトしてオープンにし、息子の発達障害と向き合っていくという宣言をしたのです。

するとなぜか周囲の人が優しくなるという副産物が得られました。もしかしたら不憫に思ってくれたのかもしれません(笑)。

受け止めて個性を伸ばせば、発達障害が武器になる

しかし自分の子どもの発達障害を受け入れられない人は一定数いるようで、悩んでウツになったり、配偶者が認めようとしないために児童精神科を受診させてくれず、診断がもらえないから療育が受けられないという話を頻繁に聞きます。発達支援施設でも、そういうママに何人も出会いました。

療育は早ければ早いほどその効果は大きいにも関わらず、何もせずに学校に飛び込むのは鎧をつけずに戦場に向かうようなものです。

その学校進学も、本当は支援級が適しているにもかかわらず、親が強引に普通級に入れたため、周囲とうまくやっていけずにいじめに遭う、勉強についていけず勉強嫌いになる、そしてウツや不登校になるといった二次障害に陥っている子どもも少なくないようです。

つまり親の現実逃避や親の見栄によって初動が遅れたり対応を誤ったりして、本来はうまくやっていける可能性があるのにその芽をつぶした挙句、より重症化させているのです。

社会は定型発達(健常)を基本に作られていますが、それがすべてではない。子には子の個性があり、それが受け入れられ才能を発揮できる環境を作るのは、親の役目であり大人の役目だと私は考えています。

Next: 発達障害は「才能」。変わり者が世界を変えていく

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