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日本は破滅ルートを選んでしまった。2021年が失業 諦念 怨嗟の年になる理由=鈴木傾城

将来に対してどんよりとした不安しかなければ誰も消費しようとも思わない。こうした時代に貯蓄率が改善するのは、未来に対する不安と恐怖が支配しているからである。不景気の貯蓄率向上は、実は不安と恐怖の裏返しでもある。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。

いつ収入が途絶えて飢えるかわからない

2020年。コロナ禍の影響で、宿泊業の倒産も飲食店の倒産も過去最多となる可能性がある。飲食店で言えば、上半期だけで倒産件数は392件なのだが、これは日本の街から「392件だけ」が消えたということを意味しない。

チェーン店は本体こそ潰れていないが、不採算店をどんどん潰している。たとえば、ロイヤルホストの親会社であるロイヤルホールディングスは70店舗を閉鎖、ジョイフルは200店舗を閉鎖、フレンドリーは居酒屋を41店舗閉鎖……と次々と報道されたが、倒産だけでなく、閉鎖によっても店は消えている。

製造業も、アパレル業も、観光・宿泊業も、倒産と閉店が続いている。さらに、倒産する前に「自主的に廃業」する店舗も多い。さらに、経済の萎縮によってすべての業種で売上減が発生して雇用が維持できなくなってしまっている。

会社が潰れるかもしれない。あるいは、いつリストラされるか分からない。それが、2020年の実体経済の中で起きていることである。そのため、コロナ禍の直撃に遭っている業種で働く人々は、いつ収入が途絶えて食べていけなくなるのか恐怖に怯えて暮らしている。

すでに終身雇用など守られていない。大手企業にいても身分が保障されない。そこに不景気が重なると、人々は常に「食べていけなくなる」という恐怖と戦わなければならなくなる。

この恐怖はとても強いものだ。自分の生活がいつ破綻するのか分からないのだから、恐怖に怯えない人はいない。このような立場にいる人が増えればどうなるのか。もちろん社会は停滞する。

不景気の貯蓄率向上は不安と恐怖の裏返し

将来に対してどんよりとした不安しかなければ誰も消費しようとも思わない。

こうした時代に貯蓄率が改善するのは未来に対する不安と恐怖が支配しているからである。不景気の貯蓄率向上は、実は不安と恐怖の裏返しでもある。

この先、どうなるのか分からないのであれば、人々は誰でも行動を抑えて出費を減らすことを考える。新車を買おうとか、住宅ローンを組もうとか、結婚して子供を作ろうとか、大金を使うような出費など「それどころではない」と考える。

それより、ほんの少しでもいいから必死で貯めないと、将来はのたれ死にしてしまうと感覚的に思う。今は大丈夫でも、そんなことは関係ない。もしかしたら今後は生活ができなくなるかもしれない、という「切実な不安」は経済的な冬眠状態を生み出す。

Next: 経済復活は期待薄、どうやっても雇用の削減に行き着く

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