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コロナ禍のリゾマン詐欺に騙される人々。「テレワークに最適」売り文句、ワーケーション破産でリゾートマンションの腐動産化が社会問題に=姫野秀喜

3. ワーケーション目的でのリゾマン購入のリスク

百歩譲って、コロナ禍でワーケーションや地方移住をしている人が増えているとしても、リゾートマンションを購入するのはおすすめではありません。

というのも共同住宅であるマンションは、その共同住宅であるがゆえに生じる問題があるからです。

その問題とは、マンションの廃墟化です。そして廃墟化しても手放すことができず固定資産税を払い続けなければならない負の遺産となる「負動産化(腐動産化)」です。

マンションの老朽化は、所有者の高齢化とともに進行します。さらに相続が発生した部屋は所有者が不明となり、管理費の滞納が始まります。

老朽化したマンションを建て替える場合、一般的には1戸当たり1,000万円程度のお金が必要となるといわれますが、管理費を滞納するような所有者が素直に支払ってくれるとは考えられませんし、そもそも所有者が不明だと建て替えの決議も行うことができません。

現に、全国の築40年以上のマンション約1万5,000棟のうち、無事に建て替えられたマンションは計画段階のものを含めて300棟弱であり、約2%しか存在しません。

つまり、残りの98%のマンションは建て替えの計画すら立てられない状態でなのです。

【関連】住み続ける地獄。『すべてのマンションは廃墟になる』書評=姫野秀喜

なお、建替えができているマンションについては、都心の一等地であったり、分譲された時よりも容積率が緩和されたりして、現在の建物よりも戸数が増えるなど、好条件なものがほとんどです。戸数が増えるマンションの建て替えが可能なのは、増えた分をデベロッパーが新規顧客に販売し、その販売益の一部で住民の自己負担額を賄うことができるからです。

そういった恵まれた環境にあるもの以外の、田舎の不便な立地のマンションの建て替えには厳しいものがあるでしょう。

そんな暗雲立ち込める未来しか予想できないのが、地方の築古マンションです。コロナ禍に便乗して、ワーケーションや地方移住、新しい生活様式などの美辞麗句を並べて、地方の100万円前後で売られているマンションを礼賛することほど愚かしいことはありません。

やがて「負動産」になって子孫を苦しめる

つい先日までは、地方の築古マンションの中には売主がお金を支払うから買ってもらいたいというような案件すら存在していました。そういった売主たちは、ここぞとばかりに「ババ抜きのババ」である地方のマンションを売却していることでしょう。

ちなみに、私は地方創生のために尽力している方々に対し批判しているのではありません。地方の人口が減少し、町に空き家が増え、税収が減り、活気が減っていくことをなんとしてでも食い止めたいというのは誰もが願うことだからです。

ですが、その具体策としてリゾマンや築古マンションを活用するというのは反対です。管理の行き届いていないマンションはいずれ廃墟化し、所有者に解体費用など巨額の負担を強いることになります。

将来、不幸になる人を増やすような可能性のある施策はあまり良い施策ではないと考えるからです。地方創生のための人口増加施策を実施するなら、一戸建てなど所有者だけの意思で解体などができる物件で行うべきだと思います。

まぁ一戸建ての場合でも、手放すことができないので未来永劫固定資産税を払い続ける負動産になる可能性は残りますが、田舎の固定資産税は都心ほど高くはありませんし、なにより老朽マンションの解体費用として何百万円も請求されるリスクはありません。

一時のコロナ禍転居ブームで購入した地方のリゾマンが、自分だけでなく、自分の遺産を相続した子供や孫を苦しめる「負動産」となるということをしっかりと認識したうえで判断してください。

Next: 憧れのリゾマンを購入してもよい人、購入してもよい物件の条件とは?

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