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ANA、5100億赤字からの再離陸なるか?「雇用維持」の変革に限界も=馬渕磨理子

決算と同時に打ち出したANAの「事業構造改革」とは

10月27日の決算と同時に打ち出したのが、事業構造改革です。

まずは、大型機を中心とした機材の削減で、長距離路線のボーイング777を中心に、2021年3月末までに33機削減して、276機へ減らすと打ち出しています。

さらに、目を引くのは、ピーチ(Peach Aviation)に続く「第3のブランド」の航空会社立ち上げを表明した点です。

中距離東南アジア・豪州路線を中心に拡大が見込まれるレジャー需要獲得を担う新たな低コストエアラインの立ち上げです。ANAやピーチでカバーできないネットワーク補完を目的としています。国際線の需要の回復状況にもよりますが、22年度を目途に運航開始を予定。

また、格安航空会社(LCC)との連携策で、傘下のピーチ・アビエーションとコードシェア(共同運航)に向け検討を開始しています。特に、ANAとピーチが就航する路線は今まで、かなり重複しているのもが多かったところを、スリム化していく方向のようです。

ピーチは国際線の運休で使用していない機材を活用して、10月25日には新千歳―那覇線や那覇―仙台線を就航するなど、国内線の地方路線を急速に拡大しています。

そして、路線網も縮小させる方向です。現状、8割以上が運休している国際線では、比較的需要の回復が見込みやすい羽田空港発着の路線を優先して再開するとしています。一方、成田や関西空港発着の復便は今後の需要動向を見ながら判断するとしています。

今回、撤退する路線について具体的な言及はありませんでしたが、地方から地方までを直接結ぶ路線では今後は減便・撤退が考えられます。ANAが縮小方向に向かう地方と地方を結ぶ路線をピーチが埋めていくという、すみ分けを図ろうとしているのでしょう。

その他、3,700万人のマイル会員組織や4兆円規模の決済額を持つANAカード事業を中核に、非航空収益の拡大も掲げていますが、この部分に関しては具体的な中身は示されていませんでした。

この辺りは、幅広いグループ戦略の見直しを迫られている今、もう少し踏み込んだ内容を今後期待したいところです。

ANA、21年3月期の最終損益は5,100億円の赤字となる見通し

今後の見通しとして、21年3月期の売上高は前年同期比62.5%減の7,400億円、最終益は5,100億円の最終赤字(前年同期は276億円の黒字)になる見通しと発表しています。

5,000億円を超す赤字の中には、機材削減などに伴う1,100億円もの特別損失が含まれています。

上記のように、航空事業の規模を縮小し、機材・人員削減などを行い、来年度はコストを2,500億円削減する見通しで、劣後ローンで4,000億円を調達し、財務基盤も改善させる努力も進めています。

片野坂真哉社長は会見で、「あらゆる手を打ち、来年度(22年3月期)は必ず黒字化を実現したい」と述べています。

しかし、黒字化を確実に進めたいのであれば、さらなる固定費削減に踏み込むことが必要になってきます。機材の退役を進めれば、減損損失が発生してしまいますし、人員削減については、「社員の雇用は守る方針」と表明している以上、ここに踏み込むのは今のところ難しいでしょう。

行き詰まり感のある状態です。

Next: ビジネスモデルの変革は進むのか?JALに続いて、ANAも公募増資

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