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本当はこわい少子高齢化、あと数年で日本はゴーストタウンだらけに。「異次元」の解決策はあるか?=午堂登紀雄

政府がこれまで放置してきた少子高齢化の悪影響がいよいよ私たちの生活にまで及んできます。現役世代が減れば企業は労働力不足になるし国家も税収が下がる。人口が減れば企業も収益が落ち、同じく税収も減る。それは国家の衰退に直結します。そして家は余り空き家が増え、ゴーストタウンも増える。今回は少子高齢化によって起こる社会の変化と、子どもを増やすための有効な政策について考えます。(『 午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門 午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門 』午堂登紀雄)

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プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。

本当に恐ろしい少子化のインパクト

政府はこれまで、たとえば子育て・教育関連の諸制度にはほぼ所得制限をかけているなど、少子化対策どころか罰ゲームのような制度設計を放置していました。

人口動態・年齢構成がどうなるかはもう何十年も前からわかっていたはずなのに、少子化のインパクトを想像せず軽視していたのでしょう。

それで岸田首相が「異次元の少子化対策」とブチ上げたことによって少子化対策が注目を集め、官民問わず議論が活発化しています(岸田首相はとりあえず風呂敷だけ広げておいて中身はあとから…という傾向があるようで、「そもそも異次元ってなんだ?」と違和感を覚えますが、出てくる案は本当に異次元なのでしょうかね)。

私はそもそも国家戦略という視点では政府を信用していないので(オペレーションやそのマネジメントの緻密さ・正確さは大いに評価していますが、国のグランドデザインを考える発想力では、という意味です)、少子化に伴う人口減少が自分の生活に与えるインパクトを考えてみます。

高齢者はやがて亡くなっていきますが、それ以上に新生児が生まれれば人口は減らない。しかしそうはならない以上、出生より死亡が多いために人口は減っていく。少子化と人口減少は違いますが、出生が少なければ人口が減るのは当然であり、起こる問題はそう変わらないでしょう。

それで何が起こるかは誰でも想像できることですが、現役世代が減れば企業は労働力不足になるし国家も税収が下がる。人口が減れば企業も収益が落ち、同じく税収も減る。それは国家の衰退に直結します。そして家は余り空き家が増え、ゴーストタウンも増える。

高齢者は必要なものはほぼ所持していますし流行を追う人も少なくあまりお金を使いませんから、現役世代向けにビジネスを展開するほとんどの産業は斜陽化し、各カテゴリーのトップグループに位置づけされる企業以外は売上利益が横ばいもしくは減少していくリスクにさらされます。

一方で、医療・健康関連とか資産運用関連は現役世代・高齢世代のどちらからも人気がありますから、このあたりは当面は順当かと思われます。生鮮品や家庭の消耗品など生活必需品を扱う企業もそうですね(とはいえ、人口が1億人を割り、さらに8,000万人を割り込むようになれば、そんな業界でも衰退するのでしょうけれど)。

つまりトップグループや差別化されたビジネスをしていない企業に勤めていると、当面はほぼ給料が上がらないということになります。

ただし後述する「担い手がいない」という問題から、長期的には賃金が上昇するとは思います(人手不足で時給や給料を上げなければ人が採用できないため)。

私自身は会社員ではありませんが、自営業であっても、顧客が欲しいと思える商品・サービスを提供しなければ同じようなリスクがあります。ただこのあたりは本人の自助努力でなんとかすべき課題でしょう。

そして社会・生活インフラも変化していきます。

水道料金の値上げ&サービス終了の危機

たとえば上下水道は自治体の管轄ですが、住宅が点在する地方郊外でも、水道管があれば保守・メンテナンスをしなければならない反面、人口が少ないため水道収入は減り、維持管理の余力が減っていく。

そのため過疎地域の水道料金は上がる可能性があるし、自治体では抱えきれず水道事業が民間企業に移管されれば、限界集落なら水道そのものが廃止されるリスクにさらされます。

水道がなければ井戸を掘るという方法もありますが、掘削とポンプ設置で100万円前後かかる(掘る深さによって異なる)ようです。

地方で下水道がない地域では自宅地下に浄化槽を設置しますが、汚水を浄化するための微生物を殺さないよう、殺菌力の強い洗剤は流さないなどの注意が必要だそうです。

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