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瀕死の東芝に投資チャンスはあるか? 上場廃止シナリオが再浮上=栫井駿介

東芝<6502>が年末に驚きの発表をしました。昨年買収した原子力関係子会社の状況が当初想定より厳しく、数千億円にものぼる減損損失を計上する可能性があるというのです。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

かつてない窮地に追い込まれた東芝、迂闊に手を出すのは危ない

債務超過の危機、最悪は上場廃止も

東芝の株主資本は直近の決算で約3,600億円ですから、今期それ以上の最終赤字を計上したら債務超過となり、シャープ(6753)と同じように東証2部へ転落してしまいます。

最終的な損失額が判明しない中、東証2部への転落を未然に防ぐには資本増強を行わなければなりません。しかし、昨年判明した会計不正により「特設注意市場銘柄」に指定されているため、公募増資による資本増強は事実上困難です。(「公募増資ができない」規定はありませんが、東証や引受証券会社が良しと言わない可能性が高いのです。)そのため、第三者(銀行やファンド、事業会社等)による増資が必要となりそうです。

東芝<6502> 週足(SBI証券提供)

東芝<6502> 週足(SBI証券提供)

東芝<6502> 月足(SBI証券提供)

東芝<6502> 月足(SBI証券提供)

株主にとって最悪のケースとして考えられるのが上場廃止です。債務超過が2期連続となった場合や、特設注意市場銘柄に指定されてから1年6ヶ月以内に内部管理体制等に改善が見られない場合、上場廃止となります。指定は2015年9月15日なので、1年6ヶ月後は2017年3月15日です。ちなみに、東芝は指定から1年後の今年9月に報告書を提出しましたが、改善が不十分として指定を継続されています。

上場廃止シナリオは現実的ではないと見られていましたが、今回の発覚によりにわかにその可能性が高まりました。

Next: 現段階では手を出さないのが賢明、明るい見通しの事業は少ない

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