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現役40代を“戦場”に放り出す「確定拠出年金」の残酷なメッセージ=持田太市

「iDeco(イデコ)」という愛称をつけられた確定拠出年金(401k)は、2017年1月より原則として現役世代の日本人全員が加入できるようになります。あらゆるメディアで報道されるものだから、やらなきゃまずいんじゃないかという気持ちになって、多くの方が申し込みされていると聞きます。取引先の人に聞いても、申し込みしました、という反応がありましたので、なるほど本当に浸透してきていると実感します。(『週刊「年金ウォッチ」-自分年金作りのためのメルマガ』持田太市)

プロフィール:持田太市 (もちだたいち)
SBIハイネットワース株式会社 代表取締役。2007年にSBIホールディングス入社。住信SBIネット銀行開業を経験後、ウェブマーケティング部署を経て、海外でのオンライン金融事業の進出プロジェクトに従事。2013年よりロシアのモスクワに駐在し、インターネット銀行サービスを導入。2015年に帰国後、ウェブを活用した国際資産運用の情報プラットフォームプロジェクトを立ち上げ、現在オンライン金融サロン「ヘッジオンライン」を運営中。

確定拠出年金から「この国の本音」を読み取り老後破綻を回避せよ

本当は残酷な iDeco(イデコ)の正体

このメールマガジンは、自分年金作りをきちんとやっていきましょう、というコンセプトで今年の8月から開始したわけですが、なぜ立ち上げたかというと、確定拠出年金がまさに日本国民の制度になるからでした。報道されている通り、税制メリットが多い「iDeco」ですが、客観的かつ冷静にみれば結構残酷な制度だということがわかります。

端的にいえば、

(1)国の年金制度維持が困難になるので、自分で積み立てて、自分の老後を守ってください、という国からのメッセージ。

(2)企業年金制度の維持が困難なので、企業が積立金額を出すので、自分で運用して増やしてください、という企業からのメッセージ。

(3)そんな身勝手な…と言わないでください。ちゃんと税金優遇という特典をつけてあげますから。

こういうことです。

現行の年金制度は「100%」破綻すると言える

(1)の国の年金制度維持については、本メルマガでも何度か紹介している通りです。現在の仕組みは、現役世代が退職世代の年金負担をすることになりますので、少子高齢化・人口減少という避けられない自然現象に対して、構造的に破綻せざるを得ません。これは100%破綻すると言えます。

厚生労働省の年金財政レポートで、その状況はある程度把握できるものの、前提条件が楽観的すぎるので盲目的にそれを信じることはできません。たぶん現状の日本からみれば、2030年くらいには年金破綻するでしょう。

現制度が破綻した場合、制度を根本から見直すことになります。今の制度の延長線上となるのであれば、現役世代から集められる年金保険料分だけを退職世代の年金とする方式に切り替わり、これを賦課方式といいます。この場合、現在もらっている年金額の約5-6割くらいになると想定できます。

金額にしてみるとわかりやすいです。現在の年金額は、およそ現役世代の収入の6割くらいです。現役が400万円として、年金受給額は240万円(月20万円)となります。ちなみにこれは厚生年金の話です。国民年金だけだと83万円(月7万円)くらいでしょうか。

想定ケースとして、2030年にはその6割になっているはずです。現役世代の給料水準が変わらないとして、年金受給額は144万円(月12万円)です。相応の貯蓄があれば別でしょうが、年金だけで暮さざる得ない高齢者は、老後破綻ということになる可能性が極めて高まります。

「老後破綻」を回避するために必要なお金とは?

この減額分(96万円)を仮に確定拠出年金で確保できるとしたら、老後破綻が回避できるとみて良いはずです。

年金受給後に25年間生きるとしたら、現状の生活を維持するために2400万円(96万円×25年)が必要です。確定拠出年金で月5万円、年間60万円、それを40年間やれば、2400万円です(もし年金運用がうまくいけば、もっと増えます)。大学を卒業して会社員になってから自分年金を作り始めていれば、老後破綻の回避率は上がるということになります。

Next: いま40代の現役世代こそが、最も厳しい「年金の現実」に直面する理由

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