ETF(上場投資信託)は、どのような目的で作られたのか。2015年9月19日付の「朝日新聞」にその経緯を詳細に述べた証言が載っているので紹介します。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2017年12月12日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
「株価を上げろと、政治の方からいわれて困っている」と頼まれ…
ETFはどうして作られたのか?
ETF(上場投資信託)とは、日経平均やTOPIX、外国の株価指数といった特定の指標の動きに連動するように運用されている投資信託の一種です。
株式市場に上場しているので、株式とまったく同様に取引できるものです。その代表的なものが、日経225連動型上場投資信託です。
そのETFがどのようにしてできたのか、その経緯を詳細に述べた証言がありますので、紹介します。
2015年9月19日付「朝日新聞」第4面(経済)に掲載された記事で、タイトルは『証言そのとき:「市場の時代」道半ば 8:過ぎた「接待」の代償』。筆者は、斉藤惇さん(日本取引所グループ前最高経営責任者)です。
記事のポイントを紹介します。
1997年春 野村證券副社長を退いて顧問になり残務整理をしていた。――
東京地検から出頭要請が来た。大蔵省や日本銀行と金融機関の癒着問題の捜査だった。――
疑われたのは1995年に発売された株価指数連動型上場投資信託の認可で『証券局から便宜を受けた』と言うものだった。その話は役所から頼まれて協力したものだった。
株価下落が続く中で証券局長が「株価を上げろと、政治の方からいわれて困っている」と。
「個別銘柄を買う株価操作みたいなことは出来ませんよ」と言ったが、平均株価に連動するような商品を法律を変えない範囲で作れないかと言われた。
調べると米国にそれに似た投信があった。――
作った投信は運用会社に手数料が入らない仕組みなので、どこもやりたがらない。結局、野村系の投信会社に頼んでやってもらったのが真相だ。
販売も証券業界全体でやった。――
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