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大規模緩和の行き着く先は食料難。職と家を失う国民を物価上昇が襲う=斎藤満

他のリスク商品を模索

国債の相場暴騰、金利低下を見て、世界の投資マネーは金や株に集中しましたが、金相場が最初に調整をみました。昨年8月にはオンス2000ドルを超えましたが、11月末には1760ドル台まで調整しました。このころは株買い一色となりました。

しかし、株にも高値警戒感が出るに至って、新しい投資対象に目が向くようになりました。

その1つがビットコインなどで、市場規模が小さいこともあって相場は3万ドルを大きく超えて暴騰しました。

この市場だけでは吸収できない投資マネーは、コモディティにも流れ、原油相場は北海ブレントに続いてWTI先物も50ドルを超えて上昇しています。金価格も1,700ドル台まで下げたところからまた上昇に転じ、再び1,900ドル台を付けています。

その他のコモディティ価格も上昇するものが増え、価格低下の定番とまで言われた小麦まで上がっています。昨年5月の安値からは5割以上高くなっています。コーヒー相場も昨年11月の底値から2割以上上昇しています。

コロナデフレと投資インフレのせめぎあい

世界の長期金利がジワリと上昇していますが、市場にインフレ懸念が出てきたわけではありません。

債券価格がバブル的に高まったうえに、世界的な財政赤字拡大が債券売りを誘った面はあります。特にコロナで世界の経済活動がまた制約を受けるようになり、需要の減退のほうに目が向いています。

ある意味ではコロナデフレの懸念です。

しかしその一方で原油価格が上昇し、ガソリン価格が限界的にはジワリと上昇しています。日本の消費者物価では前年比でみるとエネルギー価格はマイナスですが、相場に敏感なガソリン価格は12月以降上昇ぎみとなっています。この傾向が続くと電気代、ガス代も遅れて上昇することになります。

またコーヒー相場はすでに上昇していましたが、改めてまた上昇圧力がかかっています。小麦価格の上昇は、パンやパスタなどの価格上昇に跳ね返ります。

生鮮食品の価格は天候などに左右されますが、前述のコモディティ相場は中央銀行の大規模緩和が長期化すると、さらに上昇する可能性があります。コロナデフレと金融相場インフレのせめぎあいとなっています。

少なくとも、緩和マネーは当初の資産価格高から、コモディティにシフトしつつあります。株も債券も相場の行き過ぎから警戒感が出て、他の投資対象にシフトしている状況は確認できます。

金は再び2,000ドルを伺い、原油価格も上がり、コロナで需要減退が懸念されるバルチック海運指数まで上昇しています。

これらはコスト高となって二次商品価格に転嫁され、一般物価の押し上げ要因になります。

Next: 行き過ぎた金融緩和の副作用。食料価格の上昇が困窮者に追い撃ち

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