第2の壁:コロナ・ビジネスと反発の綱引き
2つ目の壁は新型コロナです。WHO(世界保健機関)の調査団が中国に入り、武漢の市場、研究所を中心に新型コロナ・ウイルスの感染経路を調べています。
中国がコウモリのウイルスを研究していたとも言われ、その発生源が自然発生なのか人工的に作られたかは諸説ありますが、結果として、これに関連した衛生用品、医療器具、ひいてはコロナワクチンの開発輸出で中国が潤っている面も否定できません。
反面、米国のトランプ政権のみならず、欧州やオーストラリアなどからも新型コロナについては中国の関与を疑われ、オープンな調査を要請する圧力もありました。中国マネーの支援を受けているWHOとしても調査に乗り出さざるを得なくなっています。
調査の結果にもよりますが、万が一、中国由来のウイルスとなれば、しかも世界にパンデミックを引き起こした責任を問われ、国際的な批判は免れません。
そこまで行かずとも、中国国内でもまた感染が再拡大し、北京や河北省では経済活動か゜制限されるようになっています。米国で政権交代かあったとはいえ、「中国コロナ」をめぐっては、バイデン政権下でも米中関係の緊張の種になる可能性があります。
第3の壁:習近平体制にも逆風
そして3つ目の壁として、世界の主導権が変わり、習近平国家主席にも逆風が予想されることです。
これまでトランプ大統領を旗頭にして、新機軸を探る新しい勢力が国際金融資本などによって築かれてきた旧体制の破壊を進めてきました。そのチームで世界のリーダーとして活動してきたのが米国のトランプ大統領、日本の安倍総理、中国の習近平主席でした。
その新機軸を求めてきたネオナチ系の勢力が、旧来の国際金融資本、ネオコンとの争いに敗れ、トランプ大統領が選挙で敗退、同時に安倍総理が退陣しました。
中国でも習近平主席の立場が弱くなっています。法制上は「永久政権」を可能としましたが、反対勢力が力をつけています。
その分、アリババの創業者、ジャック・マー氏のように、政府を批判する勢力を排除し、これがまた政府への反発を呼ぶ形になっています。
国内の反対勢力だけなら統制で抑え込むことも可能ですが、トランプ、安倍氏を排除した国際勢力が動いているとすれば、何が起きるかわかりません。
台湾海峡、南シナ海で中国を動かせ、それを機に習近平体制を崩す動きに出る可能性も無視できません。また、国際勢力のバランス変化で江沢民派が息を吹き返し、彼らが台湾海峡、南、東シナ海で強硬策に出るリスクもあります。
トランプ政権と微妙な距離を保っていたロシアのプーチン大統領もあえて表に出ないようにしていますが、反政府活動で毒殺未遂を逃れ、ドイツで治療していたナワリヌイ氏がロシアに帰国直後に拘束されました。
トランプチームのトップがいずれも排斥、批判される中で、今年はロシアのプーチン大統領、中国の習近平主席も行動が制約される可能性があります。