実施しなくてもインフラ系の投資はすべて完了
当初、東京五輪の直接的経済効果は5兆円前後と言われて来ました。
その後、政権に忖度するシンクタンクや御用学者が「レガシー効果」などという荒唐無稽の経済効果を口にして、実施後は累計で27兆円もの効果があるなどと言い出したのは流石に驚きました。
しかし、観客の参加人数を大幅制限もしくは無観客で実施して、開会・閉会のセレモニーもほとんど何もしないのでは、閉会後にレガシー効果などという胡散臭い効果が出るはずもありません。2024年にはすぐにパリの五輪がやってきますので、あっという間に忘れ去られるだけのことになりかねないでしょう。
直接的経済効果については、すでにインフラ整備などでその7割以上は投資が完了しており、あとは大会期間中の観客の来日によるインバウンド効果だけが残されている状況です。
前述のとおり、それも制限されるのであれば事実上、直接的経済効果の刈り取りは終了した状況で、ここからさらに余分なコストをかけて無理やり実施しても、回収不能に陥るのが関の山ということになります。
五輪開催の可否が不明でも湾岸のタワマン販売は絶好調
五輪が開催されないと大量に作られたタワマンの販売が不振に陥るなどというわけの判らない見通しも市場に出回りましたが、実際のところ、五輪開催の可否とは関係なく湾岸エリアのタワマンの販売は絶好調の様子。五輪などとは何の関係もないことが明確になっています。
また東京五輪が開催されないとテレビ局、新聞社といった広告関連の事業が軒並みネガティブな影響を受けることになるという見方も広がりました。それもすでに新型コロナの感染で広告出稿は激減。五輪など実施しようが中止しようが、このセクターの足元の状況はガタガタです。
今年、無理やり実施したとしても「焼石に水」の状態は改善できないことは誰が見てもわかることとなっています。
反対する長老相手に菅首相が口火を切れないだけの話
どうもこの五輪中止の話は、森喜朗氏や二階俊博氏といったおよそ老害以外のなにものでもない長老が猛烈に反対する中で、こうした長老の言いなりで政権をなんとか維持している菅首相は中止を言い出せないという、単純な構造がそこにあるように見えてなりません。
とりわけ森何某に関しては自らの政治家人生の集大成として五輪の実施にこぎつけたいという極めて個人的意欲が感じられ、自分のカネでやるならまだしも、国費をこうした形で使うのは本当にやめてほしいと願わざるを得ない状況です。