スマホ投資家たちの結託
先週は米国のスマホ投資家たちが結託してコールオプション(株等を買う権利)を買い、ヘッジファンドの売りを駆逐したと伝えられました。実際、オプション価格を構成する変動率(インプライド・ボラティリティ)も上昇しています。
この動きに対して、「個別株の局地的な動き」と解説する市場関係者も居ます。でも、株式市場全体の動きが不安定になったのも事実です。
最も気になるのが、個人が結託することで機関投資家達が動揺し、市場が不安定化することです。
今回の場合、GameStop株等のコールを買い「値上がり」を追求しましたが、これが変動率(ボラティリティ)上昇に繋がりました。
「ボラが上がることはリスクが上がること」
ボラティリティ(ボラ)といえば、「リスクパリティ戦略」との関係が気になります。ちょっと乱暴ですが、「ボラが低ければ株を沢山持つ。ボラが上がれば株を売る」戦略です。
これに限らず、ポートフォリオ運用の教科書では、「ボラが上がることはリスクが上がること。保有資産残高を減らすサイン」といった調子で話が進みます。
日本国債市場でも、かつてボラ低下に伴い国内大手金融機関が国債保有残高を増やしたものの、変動率が急に上昇したためリスク管理の限度額を上回り、慌てて国債を売る場面がありました。国内では「VaR(バー)ショック」と呼ばれています。
今月、米国株をはじめ世界の株式市場においても、変動率上昇に伴う株売りが進むことがないか気になります。
特に、個人が結託してコールオプション買いを進めたことに「プロ」達の眼は総じて冷ややかでして、かえって対応が遅れる懸念も残ります。
「コロナロス」への想いと、スマホ投資家という新勢力へのアレルギー反応、この2つが2月の相場にも影響を与えそうです。株の押し目買いも断続的に入るでしょうけど、感触が悪いときにはサッサと撤退する局面です。
まとめ
・「コロナロス」か、景況感低下やワクチン接種の遅れに納得しがちな心理働く
・スマホ投資家のコール買い結託、市場全体の変動率を高める可能性
・押し目買い、感触悪けりゃサッサと撤退
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- 2月、「コロナロス」とスマホ投資家の結託(2/1)
※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2021年2月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『高梨彰『しん・古今東西』』(2021年2月1日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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