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「グレートリセット」が起こす資本主義の大転換。遂に見えた具体的な中身=高島康司

遺伝子組み換え食品の強制的消費

ところが、そのようなとき、「グレート・リセット」の内容を調査しているジャーナリストが、その具体的な中身を紹介する記事が書くようになっている。そうした記事を見ると、「グレート・リセット」が志向している方向性が少しずつだが見えてくる。

そのうちのひとつは、管理された食料供給とでも呼べる概念である。

いま、新型コロナウイルスのパンデミックによる食料輸出の規制、地球温暖化による耕地面積の縮小、単一商品作物への生産特化に起因する水資源の枯渇などの問題が背景となり、将来的に食糧危機の発生が懸念されている。これを解決するための新しい食糧生産システムの形成が、「グレート・リセット」の重要な中身にひとつになっている。これは、「ダボス会議」の主催者、クラウス・シュワブが昨年に出版した先の著書にも書かれている。

世界情勢の分析では著名な作家、ウイリアム・エングダールの調査によると、クラウス・シュワブは「イート・フォーラム(EAT Forum)」のパートナーになったという。ここは「食のダボス会議」と呼ばれる組織で、将来発生する可能性のある食糧危機に対処するアジェンダを立案することが目的だ。世界的な製薬会社、「グラクソ・スミス・クライン」が設立した財団が出資している。またグーグルや、アマゾンの創立者、ジェフ・ベゾズなどが出資もしている人工肉の会社、「インポッシブル・フーズ」と提携し活動している。

2017年、「イート・フォーラム」は「持続可能性と健康のための食糧改革(FReSH)」という組織を立ち上げた。これには「モンサント」を所有している製薬大手の「バイエルAG」や、中国の大手農薬会社、「シンジェンタ」、さらに「カーギル」、「ユニリバー」、「デュポン」などの大手化学会社、そして「グーグル」などが参加している。これこそ、「ダボス会議」の「グレート・リセット」で、食糧危機に対応するプランを具体的に立案するための組織だ。

その方針は明白だ。シュワブの著書、「COVID-19: ザ・グレート・リセット」にもはっきりと述べられている。シュワブは、バイオテクノロジーと遺伝子組み換え食品こそ、新型コロナウイルス以後に発生する可能性のある食糧危機に対処できる唯一の方法だと主張する。

シュワブのアイデアに基づき「イート・フォーラム」は、「地球の健康食生活」なるものを提案している。これは、肉の消費を90%ほど削減し、実験室で人工的に作られた穀物と油、またその他の食品を大量に使った食事だ。これの中心になるのは、大量に生産できる多様な種類の遺伝子組み換え食品だ。「イート・フォーラム」は、食糧危機を回避するためには、法律の制定や罰則などによる強制、また補助金の支給などの財政的な誘導処置などの方法を駆使して、こうした人工的な食品の消費を促進させなければならないとしている。

どうもこれが、「ダボス会議」のアジェンダである「グレート・リセット」の中身のひとつのようだ。

もちろん、遺伝子組み換え食品や、また人工的に生産された食品に関しては健康被害が報告されている。その消費が強制されるとすれば、本当に注意しなけれなならないだろう。

しかし、それ以上に注意しなければならないのは、「イート・フォーラム」が推進するこのアジェンダが、最大手の化学会社や製薬会社によって推進されようとしていることだ。

すると「グレート・リセット」のアジェンダの推進は、こうした分野の巨大企業に世界市場の独占を許すことになるだろう。これも「グレート・リセット」の目標なのかもしれない。

ITによる人間の管理

しかし、さらに驚くべきは、ITデバイスによる人間の管理が提案されていることだ。

2016年にシュワブは、「第4次産業革命の未来を形成する」という本を書いている。これはいわば、4年後の2020年に出される「COVID-19: ザ・グレート・リセット」の先駆けとなった著書だ。

この本には、AI、IoT、5Gなどの先端的なテクノロジーの普及で、我々の生活で使われる家電などのディバイスが自動化されるようになると、政府の管理する中央コンピューターに個人のあらゆるデータが集積するとしている。

シュワブによると、政府はこうしや個人情報を活用して個人の生活状況を把握できるようになるとしている。

これは個人のプライバシーという、いままでは本人以外にだれも入ることのできなかった世界がすべて政府による管理の対象になることを意味する。

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