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スシローが無料になるから…名前を「鮭魚(シャケ)」にする台湾人が続出、現地のカジュアルすぎる改名事情とは

回転寿司チェーンの「スシロー」が台湾にある店舗にて、名前に「鮭魚」という字を含む人やそのグループに対して、食事代金をタダにするキャンペーンを行ったところ、現地で改名を行う人が激増したというニュースが大きな話題となっている。

あのCNNまでもが伝える事態になっているこの出来事。各社の報道によると、3月17日と18日に今回のキャンペーンが行われたとのことだが、18日朝の時点で計1,000組が割引の対象になり、うち200組が無料になったという。

ちなみになぜシャケだったのかというと、「一番人気で、自慢の商品だったため」と同社はコメント。台北中心部の店舗では、18日も割引を目当てにした客の行列ができていたという。

「改名」の動きは台湾全土に波及

今回の報道をきっかけに取り上げられ、多くの人から興味を引いているのが、台湾において「改名」がかなりカジュアルに行われているという、驚くべき実態だ。

というのも、台湾の「姓」は日本と比べてバリエーションがかなり少ないようで、上位10位までの姓を名乗る人数が、総人口の約半分以上を占めるのだとか。そのため、近しい親戚の間ではもちろん、いつも通う会社や学校、さらに住んでいるエリアなどに、同姓同名の人が存在するというケースが多々あるのだという。

さらに台湾の場合、文字の意味が低俗・下品だったり、または“その他の特別な理由”がある場合でも、改名が認められるという。この“特別な理由”だが、例えば「姓名判断での運勢が悪かった」というものでも、理由としてまったく問題ないそうだ。ただし、先述のような姓名が同じ人がいるという理由などでの改名が何度もできるのに対し、このような“特別な理由”による改名は、一生のうちで3回までしかできないという。

具体的な改名の手続きだが、身分証や家族の戸籍謄本などを添えて役所の窓口に申請すれば、約1時間で変更できるというスピーディぶり。費用も100元(約360円)程度と、手軽にできてしまうだけあって、今回のキャンペーンを機に改名を行う人が台湾全土で続出。台湾のネット上では、各都市ごとの改名した人数なども取沙汰されているようで、現地時間の18日午後5時30分時点で、台北市の北にある400万人都市・新北市では、改名した者が100人を突破した模様。この事態を受けて台湾の内務省は、安易な改名に対する注意喚起を行うなど、騒ぎは台湾全土に波及しているようだ。

台湾では「くら寿司」の後塵を拝する「スシロー」

日本国内でも大きな話題となっている今回の騒動だが、なかにはそれ以前に「台湾にもスシローってあったんだ…」といった反応も。

日本の回転寿司チェーンの台湾進出は、2014年の「くら寿司」が皮切り。その後2016年には「はま寿司」が、さらに渦中の「スシロー」は2018年に出店している。

いっぽう台湾では、それ以前より「争鮮(SUSHI EXPRESS)」という現地の回転寿司チェーンが存在し、現在も200軒以上の店舗を有するという。

このように、もともと回転寿司文化が根付いていた土地柄なだけに、日系回転寿司チェーンによるその後の展開もスムーズだったようで、20年9月段階では「くら寿司」が29店舗、「スシロー」が19店舗、「はま寿司」が6店舗出店している。さらに最近では「金沢まいもん寿司」といった高級チェーンも、台湾進出を果たしたようだ。

日本国内における店舗数では現在「スシロー」がトップで、それに「はま寿司」「くら寿司」が続く状況。しかし台湾内では、進出が早かった「くら寿司」が店舗数的には優勢で、さらに20年には台湾の新興市場「タイペイエクスチェンジ(TPEx)」にも上場するなど、台湾はもとより中国も含めたアジア圏への進出も目指して体制は万全。今回の件でも「たらふく食べた後にくら寿司だったことに気付いた」というエピソードも伝えられるなど、台湾現地においてその存在は完全に定着しているようだ。

進出の遅れもあり、台湾内での店舗数で「くら寿司」の後塵を拝する「スシロー」が、勢力挽回のために実施したとも捉えられる、今回の“改名”キャンペーン。そのPR効果は、想像を超える絶大なものとなったようだ。

Next: 現地ではシャリの「大量お残し」事案も発生か?

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