マイナス金利は前人未踏の領域、誰も成功を保証できない危うさ
2016年2月、日銀は未踏の領域に入りました。つまりマイナス金利の採用です。
これで日銀は、
- マネーの量
- 買い入れる金融商品(すなわちオーソドックスな日本国債だけではなく、ETFやREITまで対象にするという意味で)
- 金利
という3点で異次元な金融緩和の時代に入ったといってよいでしょう。
これに対し市場では、「すでに日銀の政策は限界を迎えつつあるのではないか」という不安が台頭しつつあるといってよいでしょう。「上記3点を強化することにより、いくらでも金融緩和を進めることはできる…」黒田さんは常々このように言いますが、どうやら市場は、冷ややかに見始めたといえるでしょう。
例えば、マネーの供給策です。
「年80兆円の供給でダメなら100兆円刷ればいいだろう、なんなら120兆円に増やしてもいいんだよ。」
仮に日銀がこのように考えたとしても、なにやら危うげです…。
かれこれ3年にわたり紙幣の増刷を行ってきた結果、すでに日銀の資産総額は我が国GDPの70%を超えています。このまま年80兆円のペースで一万円札を刷り続ければ、来年いっぱいで日銀の資産残高はGDPを上回る計算です。
別に日銀の資産がGDPを超えても直ちにどうということはないのですが、一つの危機ラインとして意識されるのではないかと思います。
ちなみに米国の場合、FRBの資産総額は約4.5兆ドル。これは同国GDP比26%ほどにすぎません。
もし市場が、マネーと実体経済のバランスの悪さに対し疑念を持ち始めるとしたら、いったいどのようなことが起きるのでしょう…。ちょっと怖い気もしますが、ここまでくれば考えないわけにはゆきません。