開催はヒラリー・安倍の力頼み
米国のバイデン政権は、少なくとも東京五輪以上に北京の冬季五輪に強い反発を持っています。自ら北京五輪への参加ボイコットを示唆するだけでなく、同盟国にも「共同ボイコット」を働きかけています。できれば専制国家中国に、スポーツを通じた「平和の祭典」を開催させたくないとしています。
その点はCFR(外交問題評議会)系のバイデン大統領も、党内で力を持つ民主党系ネオコンのヒラリー・クリントン氏も共通して北京五輪ボイコットの認識にあります。
しかし、東京五輪に関しては微妙に異なる判断をしています。バイデン大統領は、北京五輪ボイコットなら東京にも参加しない、ないし中止を求めるべき、と考えていると言います。
これに対してヒラリー・クリントン氏は、東京五輪に関しては東京の判断に委ねる姿勢で、東京がやると言うなら反対しない、との立場と言います。
これは安倍前総理には伝わっている模様で、安倍氏周辺は五輪開催に向けて動いていたと言います。菅政権としては、何とかヒラリー・安倍ラインの支援で五輪開催にこぎ着けたいと思っていたようです。
赤木ファイルの威力
しかし、風向きが変わりました。森友学園をめぐる財務省の決裁文書改ざん裁判で、国は5月6日、決裁文書改ざんに関わったとされ自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫氏が残したファイルの存在を認めました。
これが安倍前総理の動きを封じ込めました。自民党内には安倍再々登板を期待する声がありましたが、このファイルの存在表明後は状況が変わりました。
その分、ヒラリー・安倍ラインによる五輪支援キャンペーンはやりにくくなったはずで、自民党内での五輪開催への動きも力がそがれたと見られます。五輪開催支援のために「さざ波」発言をした高橋洋一内閣府参与への批判の声も強まっています。