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野村不動産の高級タワマンに「施工不良」発覚。大規模調査を求める声があがるも、リークした住民に対しての恨み節も

東京都内に建ったばかりの駅直結の超高級ツインタワーマンションに欠陥が見つかり、売り主の野村不動産や施工の清水建設とマンションの一部住民との間でトラブルになっていると、FRIDAYデジタルが報じている。

記事によると、住民側による調査で見つかったのは「防音設備」「耐火設備」「耐水設備」に関する欠陥。その後、野村不動産と清水建設の責任者が同席した説明会が開かれたものの、野村と清水の両社は専門用語ばかりを並べた説明で購入者を困惑させたり、「手元が暗くて確認が不十分だった」などと呆れた言い訳に終始していたようだが、その後一転して「施工不良」を認めて、購入者に謝罪したとのこと。だが、野村不動産はその後も当該物件の販売を続けているという。

この報道が大いに影響したのか、記事が出た14日は清水建設・野村不動産HDの株価は、ともに大幅安となっている。

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住民側は大規模な検査を求める構えか

今回取沙汰されているマンションだが、JR中央線の駅から至近距離に建ち、2020年5月竣工のほぼ新築。販売サイトを見てみると報道の通り、現在も3LDK・4LDKの5戸が売り出されているようで、販売価格は7,418万円(1戸)~1億538万円(1戸)と、プランによっては億にも届く高級物件のようだ。

この手の欠陥のあるマンションの話題といえば、2015年にメディアなどで大いに取沙汰された横浜の「傾きマンション」を思い出す方もいるかもしれない。「手すりがずれている」との複数住民からに対し、販売側の三井不動産レジデンシャルは当初「東日本大震災の影響」と説明。ところがその後の調査によって、傾いていたマンションは杭の一部が固い地盤に届いていないことが判明したうえに、施工時のデータ改ざんも発覚した。

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結局この件は、傾いていた棟も含めた全棟の建て替えとなり、今年2月にようやく工事が終わって、再入居となったとのこと。ちなみに三井不動産レジデンシャルは、建物の解体と建設に約300億円、仮住まい等の補償関連で約100億円の費用を負担したという。

とはいえ、この横浜の傾きマンションのように5~6年で解決するなら良いほうで、福岡市内では、入居当初から傾きやひび割れなどの不具合が続出していたマンションが、住民たちによる25年にも及ぶ調査と訴えの末、昨年2020年にようやく販売側が責任を認め、今年4月から建て替え工事が始まったというケースもある。

今回の件に関しては、野村不動産と清水建設の両社は「設計図通りに変更する」と申し出たといい、補償に関しても今後協議に応じると話しているとのこと。しかし住民側の疑念は晴れてはいないようで、他に欠陥がないか大規模な検査を求める構えといい、長期戦も大いに考えられる状況だ。

是非が分かれる「マスコミへのリーク」という手段

このように、後を絶たないといった印象のマンションの「施工不良」に関する話題。ただ見方を変えれば、この手のトラブルが発生した際に、住民側がマスコミにリークすることが今や常套手段となっており、それが故に目に付く機会が多くなっているという一面もありそうだ。

今回の件に関しても、FRIDAYデジタルの記事を読む限り、販売側は専門用語ばかりを並べた説明で購入者を困惑させたといった記述もあるように、住民側とすれば誠意ある対応を当初は受けられなかった模様。そもそも大企業の販売側と住民一個人との話し合いとなれば、住民側がどうしても劣勢に立ちがちで、なんやかんやで言いくるめられてしまう可能性も大。それを防ぐといった面では、マスコミにトラブルを明かして味方に付いてもらうという手段は、もちろん有効だろう。

ただ、いっぽうでマスコミへのリークは「下策」だという意見も少なくはない。理由としてはマスコミへのリーク、あるいはそれを仄めかすことによって、販売側の態度が硬化する可能性が大きいという点。さらに、報道によってトラブルの発生しているマンション名が明らかになれば、自らの資産の価値を下げることにもなりかねないからだ。

もちろん資産価値が下がるのは自分の物件だけではなく、そのマンション内すべての物件に影響が及ぶということで、他住民のなかにはその手のトラブルが明らかになることを快く思わない人も存在。それどころか、リークした住民が他の住民から恨みを買うといった事態も考えられ、現に当マンション住民によるネット上のコミュニティでは、そういった声もあがっている模様だ。

今回の件も今後さらなる調査が行われて、より重大な施工不良が発覚する可能性もあるが、横浜のケースのように建て替えしかないといった事態ならともかく、現在あがっている程度の不具合なら、上記のようなリスクも考慮したうえで、黙って直してもらったほうが良かったのでは、といった見方も。記事では解決へと向かっているような記述もあった今回の件だが、今回の報道が交渉にどのような影響を及ぼすのか、今後の展開が気になるところである。

Next: 「そもそも記事のは本当に契約不適合とまで言えるかどうか」

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