最大の要因は市営地下鉄
報道によれば、最大の要因は、1997年開業の市営地下鉄東西線の建設費だそうです。
バブル期の建設ゆえ、公費が大きく膨らんだそうで、事業費当初予定の1.4倍の5,461億円に増加しました。その一方で、利用客は、当初見込みの1日約18万4,000人に一度も達していないそうです。
民間企業だと、まず担当役員はクビですね。担当部署の役職者は降格か左遷、社員は配置換えですね。そもそも民間だったら、工事計画段階で、予算の見直しあるいは事業を中止しますね。
「1日約18万4,000人」という想定の見込み客をはじき出す根拠は、どれだけ精査していたのでしょうか。
地下鉄事業は営業収入を支出にあてる特別会計で営むのが原則ですが、京都市では、営業収入だけでは収支が成り立たず、2004~2017年度に計967億円を一般会計から補填したそうです。
問題を先送りしてきた京都市の怠慢
ネット上で「京都市持続可能な行財政審議会資料抜粋資料」と題したPDF資料を見ることができます。
まるで「他人事」のように書かれているこの資料を、京都市民はどのような思いで見るのでしょうね。
内容の一部をピックアップしますと「地下鉄事業収入不足補填」として、平成20年度に148億円、平成30年度に154億円を先送りでしのぐと書かれています。負債返済経費は、平成20年度の20億円から、令和2年度には100億円へ大きく増加とも書かれています。
一方で、資料には「京都市がやった“褒められる”こと」として、ものを作ったり防災強化をしたりで、民間の「日本の歳特性評価」や「SDGs先進度調査」で首位になったことが書かれています。公債償還基金の不足額は2,033億円というのも、同じ資料に書かれています。
また対策として、以下の項目が挙げられています。
・地方交付税を国に交渉
・市民に増税
・独自の財源確保
大阪府知事に就任した橋下徹氏は、就任と同時に、大阪府民へのサービスを大幅に削減し、市営バスや地下鉄の高齢者パスの見直しや、文化事業の削減に取り組み、多くの非難を浴びましたが、結局は大阪府財政を大きく立て直し、大阪府が財政再生団体に落ちるのを防ぎました。
これに対して京都市は、公共事業支出が財政を圧迫する中でも、手厚い市民サービスは維持しました。
これを当然と見るのか、ポピュリズムと見るのかは意見が分かれるところでしょうが、知事は政治家なので、自身の選挙のためというところは、ないことはないでしょうけどね。
70歳以上の市民が無料か低料金で市バス・地下鉄を使える「敬老乗車証(敬老パス)」は、1973年度の約3億円から2019年度は対象者の増加で50億円まで膨張しています。
市民1人当たりの公費負担(3,392円)は同様の制度のある13政令市中、2番目に高いそうです。
ほかにも、小学生の虫歯治療費の全額助成事業を1961年から、保育士の独自加配を1966年から継続、職員人件費の給与水準(ラスパイレス指数)は政令市で4位タイの高水準だそうです。