京都市以外の地方自体も苦しい立場に
地方自治体の税収が減っているのは、今の状況を見れば容易に想像できます。
地方交付税をもらっていない“優等生”である「不交付団体」ほど、財政が厳しくなっているようです。1,765都道府県・市町村のうち、この「不交付団体」は“76”ありますが、今後、この数字に変化が見られてくるのでしょうか。
一方で、比較的人口規模が小さく、大規模な発電所が立地している自治体では、2021年度から増収見込みだそうです。
減収見込みの自治体では、やはり京都市と同じ「財政調整基金」の取り崩しを予定しているそうです。「財政調整基金」とは、財源変動に備えて、余裕があるときに積み立てる基金で、東京都のコロナ対策で出てくる「東京の貯金がなくなる」と報道している“アレ”です。
東京都の財施調整基金は、2021年度末には21億円になるそうです。2019年度は決算ベースで9,345億円ありました。この短期間で9,300億円も使ったことになりますが、都内飲食店は協力金が今年2月以降、支払われていないというところが多数あるのは、なぜでしょうね。
2021年度税収減の幅(2020年度と比べて)最も大きいのは、山梨県山中湖村の14.2%で、次に滋賀県竜王町の13.1%、静岡県御殿場市が13.0%となっています。
問題は、「財政調整基金」取り崩し割合が高い自治体で、2021年度の取り崩しは、埼玉県和光市が最も高く83.2%、次いで、神奈川県鎌倉市が79.9%、静岡県御殿場市は61.6%取り崩して税収不足を補うようです。
和光市も鎌倉市も御殿場市も、地方交付税をもらわず、今までは自らの税収で財政運営ができていた“不交付”自治体です。
いきなり、「財政再生団体」になるわけではないですが、今後に向けて住民サービスを削ることは検討されているようです。
優等生だった自治体も窮地に。どう対応する?
地方交付税を受け取る「交付団体」になる可能性もあります。
・埼玉県和光市では、国民健康保険と介護保険保険料値上げを検討
・神奈川県川崎市は、「開かずの踏切」解消のためのJR南武線高架事業の見直し
・千葉県浦安市では、子ども図書館新設や郷土博物館リニューアルを延期
・愛知県碧南市では、駅前ロータリー拡張計画完成時期の先送り
愛知県碧南市は、トヨタ自動車やグループ企業が集まる「西三河地方」の都市です。コロナで、企業収益が落ち込んだことのあおりを受けての税収減でしょうね。
住民サービス削減の例として、埼玉県新座市では以下などを進めるとしています。
・法律や税務相談の無料窓口サービス中止
・市民向け講座や研修会は休止
・地域支え合いボランティア補助金減額
・子育て支援ネットワーク休止
・介護保険サービス等に係る診断料助成廃止
・高齢者賃貸住宅家賃助成廃止
・歯科検診一部経費削減及び廃止
これらはほんの一部ですが新座市ホームページにはもっとたくさんのサービス廃止の例が載っています。
コロナ禍における、企業業績の悪化による税収減、および、感染拡大による市民病院の経営悪化が響いているようです。
京都のような観光業収入が大きい地方自治体も、当然ながら厳しいでしょう。
こういう情勢を見ながら、膨らみに膨らんだ東京五輪費用を見ていると、いたたまれない気持ちになります。東京五輪に関する“お金”の検証は、今後、絶対に必要だと強く思いますね。
あれだけの費用を地方自治体に回してあげるだけで、どれだけの日本国民が助かるのかを考えると、「なんだかなぁ~」という思いでいっぱいです。
コロナによる地方自治体存続の危機にも、注目していく必要がありそうです。
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※本記事は、らぽーる・マガジン 2021年7月12日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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『らぽーる・マガジン』(2021年7月12日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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