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他人事ではない京都市“財政破綻”危機。優等生の自治体も突然窮地、ツケはすべて住人へ=原彰宏

世界的な「観光地」ならでも事情もある

財政難に陥った原因のなかには、「京都ならでは」の事情もあります。

<納税者でない学生が多い>

納税義務者割合が43.1%と、政令指定都市で最も低くなっています。平均は47.2%ですから、4%も低くなっています。

<非課税の寺社が多い>

主要税源の固定資産税の市民1人当たりの税収は、政令指定都市の平均より約3,000円低いそうです。

<コロナ禍で観光収入が激減>

修学旅行の多い地域で、観光客も1年中訪れているイメージが強いのですが、コロナ禍で事情が変わり、お祭りも自粛で、観光収入は激減どころか目を覆ってしまうような酷さなのでしょうね。

赤字を放置してきたツケ

なるほど、京都市にとっては可愛そうな部分があるのは、わかります。

それでもここに至るまで京都市は、貯蓄を取り崩して、事業の赤字補てんと高水準の住民サービスを続けてきたわけです。

市の貯金は、具体的には「財政調整基金」が2000年度にほぼ枯渇、2005年度からは「禁じ手」と言われる「減債基金」にも手を出しているのです。2021年度は、コロナ禍による観光収入激変で、この基金から過去最大の181億円を引き出しているそうです。

この状態が続けば、2026年度には基金が枯渇。冒頭で指摘した2028年度には、赤字割合が地方自治体財政健全化法上の財政再生団体の基準に達するのだそうです。

大体、収入の見込みをどう考えていたのでしょうか。地方交付金頼みだったのか、市としての運営(経営)の能力が問われます。

コロナを想定していないとしても、2000年度に「財政調整基金」が枯渇した段階で、京都市としてはどのように動いて、その実情を市民にどう報告していたのでしょうか。

結局は、トップの無能さの“ツケ”は、市民が払うことになります。

市民サービスの大幅な低下は避けられないのは目に見えていて、さらに京都市では、国民健康保険料は3割(年約2万7,000円)の値上げ、保育料は4割(月約3,800円)の値上げを想定しているとのことです。

インバウンドを見込んでたくさん建てたホテルやゲストハウスは、どうするのでしょうかね…。

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