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菅首相“追加経済対策”計画で選挙アピールも支持率ダダ下がり、期待されるのは「給付金おかわり」だけ。補正予算成立は選挙後という欺瞞も

新型コロナウイルスの感染再拡大で緊急事態宣言のエリアも拡大されるなか、菅義偉首相は国民生活を下支えするための追加経済対策の取りまとめを、近く政府・自民党に指示する方針を固めたと報じられた。

自民党としては、公明党との協議も経たうえで、衆院選でアピールできるよう9月前半にも提言を策定。衆院選後の国会において、追加対策を盛り込んだ2021年度補正予算の成立させる日程を描いているという。

この報道を受けて、ネット上では「ついに給付金おかわり?」と気の早い声もあがるいっぽうで、明らかに選挙のことしか考えていない、あからさますぎる一連の動きに辟易といった声も多くあがっている。

補正予算成立が遅くなるのは「国民救済より政局優先」のため

7月上旬に行われた都議会選において、辛うじて第一党とはなったものの、過半数には届かない苦戦となった自民党。

それを契機に、安倍前首相が地方講演で「雇用を守るためにも大規模な経済対策が必要」との認識を示したほか、二階俊博幹事長もCS番組の収録で「財政健全化を忘れたわけではないが、(国民の)不安を解消するため思い切った対策を講ずるべきだ」と語るなど、与党内からの歳出圧力が強まっており、今回の追加経済対策の方針もそのような声を受けたものと言えそうだ。

今後、取りまとめが進むとされる追加経済対策だが、その予算は約30兆円規模となる模様。この約30兆円という金額だが、2020年度予算から持ち越される繰越金が30兆円超で、それがそのまま充てられる格好となるようだ。

コロナ対策のための3度の補正予算によって、当初予算に比べて1.7倍となる175.7兆円にまで膨らんでいた2020年度一般会計の歳出総額だが、結局は総額の5分の1前後が持ち越されることに。そのなかでも約6.4兆円と繰越金が最も多かったのは、実質無利子・無担保融資を行う官民金融機関の資金繰り支援の予算だったのだが、その次に多かったのが地方創生臨時交付金の約5兆円だったという。

この地方創生臨時交付金だが、時短要請に応じた飲食店への協力金の原資に充てられる予定だったが、ご存じの通り各都道府県による給付作業が追い付かなかったために、繰り越しになってしまったようだ。そのお金が今回の追加経済対策の予算として活用されるというのは、見方によれば「すでに払われてしかるべきお金が、選挙対策の“見せ金”として利用される」ということにもなりかねず、この点も大いに不興を買いそうである。

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さらに今回の追加経済対策だが、その裏付けとなる補正予算案の編成は衆院選後に先送りするつもりのようで、選挙前に打ち出すのは予算の大枠にとどまるとのこと。長引くコロナ禍で苦しむ国民を前にして、どうして早急に話を進めないのかというと、どうやら選挙前に臨時国会を開いて補正予算案を審議することになれば、菅政権への打撃を狙う野党に追及のチャンスを与えかねない、というのが大きな理由だという。まさに「国民救済より政局優先」という菅政権・自民党の姿勢にも、批判の声が集中しそうだ。

五輪開催中でも支持率ダダ下がりの菅政権

これまで菅首相はオリパラを何が何でも強行したうえで、その熱狂ムードのまま衆院選に雪崩れ込むという青写真を描いている、と散々報じられてきた。今回の追加経済対策は、そんな「五輪の熱狂効果」に更なるダメ押しを狙ったものと捉えても良さそうだが、そもそも「五輪の熱狂」や「追加経済対策」で、政権の支持率がアップするのかというと、それもここに来て疑わしい情勢だ。

というのも、7月23日~25日にかけて日本経済新聞とテレビ東京が行った世論調査で、菅内閣支持率は34%と、前回6月調査から9ポイント下落。菅政権発足後では最低の数字になったのだ。

この23日といえば東京五輪の開会式が行われ、視聴率は近年では珍しい50%越えに。その翌日からは柔道での日本人選手の大活躍にくわえ、25日にはスケートボードの堀米雄斗や競泳の大橋悠依による金メダルラッシュで大いに沸くなど、開幕直前まで漂っていた五輪忌避ムードが早々に一掃されたタイミングだ。しかしながら、そんな最中での支持率調査でも大きく数字を下げており、「五輪の熱狂ムードのなかで選挙も大勝」という青写真が、所詮はムシの良すぎる妄想でしかなかったことを早くも証明する格好となった。

いっぽうの追加経済対策のほうも、1度目の特別給付金の給付が始まった昨年の5月以降、安倍政権最末期でも支持率は別段上がってはいないことは、過去の数字の推移を見れば明らかで、仮に2度目の「10万円おかわり」が提示されたとしても、それが支持率アップに繋がるかは疑問符が付くところ。まさに「これはこれ、それはそれ」なのだ。

さらに上記とは別の、時事通信による7月前半の世論調査によれば、すでに菅内閣の支持率は危険水域といわれる20%台へと落ち込んでおり、同社によると支持率30%割れは「加計学園」問題で安倍政権が揺れていた2017年7月以来、4年ぶりだという。

今や国民は、菅政権のことを「モリカケの頃の安倍政権よりもヤバい」と認識するなかで、いまさらバラマキを行ったところで、選挙対策的には「焼け石に水」に終わるのがオチか。選挙前のタイミングを狙うべく、焦らしに焦らしたうえでの今回の追加経済対策の方針だったが、「あまりにも遅すぎ」というのが国民の総意だろう。

Next: 「そのうち20兆円くらいがパソナや電通に流れそう」

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