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孫正義流ワクチン促進の“妙案”なのか?有料会員に職域接種特典のソフトバンクに「行き過ぎた営利主義」批判も多数、東京ドーム無償提供との差にファン怒り

ソフトバンクグループが福岡市のPayPayドームで実施しているコロナワクチンの職域接種の対象範囲を、プロ野球・福岡ソフトバンクホークスのファンクラブ会員にまで拡大させたことが、大きな波紋を呼んでいる。

報道によると、今回対象となったのは福岡ソフトバンクホークスのファンクラブである「クラブホークス」および「ホークス筑後ファンクラブ」の会員。ワクチン接種日時点で18歳以上で、ワクチン1回目接種が済んでおらず、2回目の接種もPayPayドームで接種できる人に限られるとのこと。8月30日から希望者に接種を開始するという。

ソフトバンクは、大規模職域接種実現に向けて国や自治体ほか関係機関と調整を行ったところ、ワクチン供給の見通しがついたため、接種範囲を拡大することとなったとしている。今後は約2万人への接種を予定しているとのことだ。

批判相次ぐなか肯定的な意見も

職域接種をめぐっては、当初から自社の関係者だけでなく近隣の住民にまで対象を広げ、25万人規模となると公表。2回ワクチン接種を受け一定期間が経過した人には、PayPayドームで開催されるホークス戦の入場料を半額にするといったインセンティブも打ち出していたソフトバンクグループの孫正義社長。

今回の措置もその一環のようだが、ネット上からは「それって職域の範囲内?」「大企業だけ不公平だ」といった声があがるなど、否定的な意見が多い模様。特に、有料であるファンクラブ会員限定というところが大いに物議を醸す結果となっており、「ワクチンの商用利用では?」「ワクチン転売ヤー」といった声もあがる。

ソフトバンクという会社はもとより孫正義氏自身も毀誉褒貶のかなり激しい存在ということも、厳しい声が多くあがる要因となっているフシもあるが、いっぽうで、「ワクチンが無駄にならないのならいいのでは?」「ワクチンが普及して球場が満員にできたら、結果として九州のためになる気も」などといった、肯定的な意見も一部では見られる。

また、問題になっている「ファンクラブ会員限定」の件も、すでに個人情報が把握できている人々に接種を限定したいといった思惑があるのでは、といった見方も。とにかく、ワクチンの数にくわえて打ち手の人員や会場の確保などいった体制が整っている大きな企業が、このように職域接種を大々的に行うことは、そんなに悪いことではないのでは、そんな声も一部からは聞こえてくる。

いっぽうで東京ドームの接種会場は好評

今回報じられたソフトバンクの職域接種は福岡市にあるPayPayドームの話だが、いっぽうで都内では、プロ野球・読売巨人軍の本拠地である東京ドームも、16日からは接種会場となっているという。

この東京ドームでの接種だが、報道によると会場入り口では読売巨人軍のマスコット・ジャビットくんがお出迎えしてくれ、接種後は客席でオーロラビジョンに映し出された巨人戦の名場面集を見ながら経過観察の時間を過ごせるなど、ファンなら大喜びの趣向で結構好評のようだ。

こちらの接種事業だが東京ドーム側、つまり読売新聞グループ本社の関りは、会場の無償提供にとどまり、予約受付やワクチンの用意といった接種自体の仕切りは文京区・新宿区・港区の各区が行っているとのこと。ソフトバンクも近隣住人に接種を広げたいといった思いがあったのなら、ワクチンを地元自治体などに返上し、予約受付業務なども行政に任せる形にしておけば、今回のような批判の声が渦巻くことにはならなかったのかもしれない。

昨今のワクチン供給不足により、中小企業などが合同で職域接種を行おうとしていたところでは、ワクチンがまったく足らずに、結局中止になってしまったという声もSNS上では多く見られる。今回報じられたソフトバンクによる、ファンには魅力的なインセンティブも用意された接種事業は、ワクチンを打ちたがっている人々への接種に片が付き、「ワクチンをあまり打ちたくない」という人が多いとされる若者層の接種率向上が本格的に取沙汰されるタイミングなら、大いに評価されたかもしれない。ただ、今の「打ちたい人が打てない」状況下での実施は、さすがに拙速に過ぎたようだ。

とはいえ一番悪いのは、五輪開催前にもかかわらず接種率が伸び悩んでいる状況に焦りまくっていたのか、各社から要望のあったワクチンの希望数を精査することなく、ただただ配りまくった政府なのはいうまでもないだろう。

Next: 「そのうちソフトバンクモバイル契約者にワクチン接種とか…」

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